「ストーリーは王道。でもキャラが変すぎて」アーロと少年 うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)
ストーリーは王道。でもキャラが変すぎて
すごくよかったと思います。
ちょっとウルっときたし、最後まで飽きないで楽しめました。
でも、どうしても納得いかないのが、キャラクターの造形です。普通に、人間の家族が主人公で良かったのに、なぜわざわざ恐竜(それも滅亡せずに、文明を築いた)を主人公にしたのか。そしてなぜ人間の子供を群れからはぐれた狼のように設定したのかということです。
私なりにたどり着いた結論は、インパクトとギャップを狙った演出だったのではないか?ということです。
製作初期に、恐竜の背中にまたがる少年をイメージし、そこから企画が広がっていったのだとしたら、こんな無理のある設定もある程度は頷けるというものです。しかも、厳しい自然に翻弄される少年を、強い恐竜が守ってあげるというのでは、当たり前すぎて、どこかで見たことのあるようなお話になってしまいます。それで、今回の設定に結びついたのではないかということです。
さらなる不思議ですが、人間の子供(スポット)は姿かたちは人間であるものの、ふるまいは完全に狼の子供です。では、なぜ狼のキャラにしなかったのか?いや、むしろ狼の子供と人間の子供が冒険するお話が、原型としてあったのではないでしょうか。
いかにも「シートン動物記」あたりにありそうな普遍的なストーリーを、キャラクターをアレンジして、どこにもない独創的な映画にしてしまったのではないのか。
それによって、やや頼りなく、見た目もそれほど可愛くないアーロと、可愛いのに、感情移入を拒むような粗暴な性格のスポットという、かなり変則的なキャラクターが生まれたのではないかということです。評価は、レビューを見る限り、賛否両論あるようですが、少なくとも私は感動しました。いい決断だったのではないかと思います。
子供たちは、理屈をこねる前に、直感で「好き」か「嫌い」を判断します。
私の直感は、この作品を「好き」と判断しました。私の子供は気に入るのかな?
2020.9.3