「完全無欠の傑作になれた作品」アナと雪の女王 BQGMANさんの映画レビュー(感想・評価)
完全無欠の傑作になれた作品
字幕版と吹き替え版、計2回劇場で見ました。
どちらも素晴らしいですが、ピエールさんのオラフと、松さんの歌声の素晴らしさという点で個人的には吹き替え版の方が楽しめました。ホント、松さん唄が上手い!
で、本作、ディズニー初のヒロイン2人による物語と宣伝されていますが、正直オラフの存在が素晴らしいです。彼の存在に比べ、劇中の2人のボンクラ男子はどちらも薄っぺらで、、アナを唯一大きく成長させる存在はやっぱりオラフしかいません。それだけに…現在のストーリーだと若干弱いのかなーと感じました。
正直、オラフは暖炉の前で“一度”溶けて死んじゃう方が絶対に泣けますし、よりラストのカタルシスへとつながると思うんですよね。。「アナの為なら溶けてなくなってもかまわない。。」、オラフが暖炉に灯をともすシーンで放つ台詞、その直後、本当に溶けて死んでいたら…それこそ号泣ですよ。そして自らを犠牲にする死を目の当たりにしてこそ、アナのラストで見せる姉をかばう自己犠牲の行動へとスムースに移行できると思うのです。
現在のシナリオだと好きな男との幸せよりも、姉の命をとるっていうこの流れ、動機としてもイマイチ希薄なような気がします。オラフの自己犠牲、その死を経験し、成長を経て自らも自己犠牲の道を選ぶ。この方が 絶対しっくりくると思うのです。
それに、この物語で死んでも苦情や抗議が殺到しないのは、人間でも動物でもないスノーマンのオラフだけです。作品上、唯一殺せるキャラっていうのもおかしな話しでなんすが、、そういう意味でもオラフの死は必須だったと思います。最後には自分だけの雪雲なんすかね、例のアレと一緒に戻せば生き返るワケですし。。
作画力やキャラの表情、特殊効果、どれをとっても一級品、傑作なのは間違いありません。それだけに、このオラフの使い方、つまりシナリオ(の煮詰め不足)だけが唯一残念でした。