「邪神ロキのトリックスターっぷりに刮目せよ」マイティ・ソー ダーク・ワールド クリッターさんの映画レビュー(感想・評価)
邪神ロキのトリックスターっぷりに刮目せよ
マーベル・シネマティック・ユニバース第8作目にしてマイティ・ソー2作目。
しばしばMCUシリーズでもワースト扱いされることが多い本作だが、初めて映画館で観たMCU作品がこれなのもあって、結構、いやかなり好きな作品である。(てかMCUに嫌いな作品は一切ない)
ストーリーがシリーズでも一番取っ付きにくく、訳がよく分からないのが本作をワーストにさせる一番の要因か。(または悪役の印象のなさか)
簡潔に説明するとダークエルフの長マレキスが何千年に一度訪れる9つの世界全てが繋がる惑星直列[コンバージェンス]に乗じ、インフィニティ・ストーンの一つであるエーテルを使って9つの世界全てを支配しようと企む中、ソーとロキが手を組んで、マレキスの野望を阻止しますよ〜。
ってのが大まかなストーリーな訳だが、前作どころかアベンジャーズ1作目よりスケールがでかくなっててとりあえずもう一回アベンジャーズ呼んでアッセンブルしようかってなるほど。
今回のソーは前作やアベンジャーズを経て、やけに大人しい冷静な雷神として登場。(ラグナロクを観た後じゃ余計にそう思える)
だけど持ち前の破天荒さと天然っぷりは健在なので、そこは安心。
何せ、神のくせにわざわざ電車移動したり、ご丁寧にムニョムニョを壁に掛けたり、やけくそ気味に敵の船をバンバン叩いて動かしたりと親近感抜群。(エーテルの力に対しても大したことないなと余裕発言)
そのくせ、序盤でカッコよくご登場したり、最後にはヒーローらしくマレキスに渾身の一撃食らわせたりと決める所はキッチリ決めるのがソーさんなのである。
だが本作の最大の見所は前作やアベンジャーズでの一件ですっかり拗らせて、開き直ってしまったロキだ。
中盤辺り、ウキウキ気分で牢獄から出してもらえたと思ったら、兵士に化けたり、ソーをシフに変えたり、キャプテンに化けたりと、のっけからやりたい放題。(ジェーンに出会い頭にぶん殴られたりしたが。)
しまいにゃソーや仲間達に「裏切れば殺す」なんて言われても「ハイハイ分かりましたよ。」とあっさり受け流しちゃう。
もう完全にやさぐれてんなw。
そんで味方になったかと思えば、案の定裏切ったり、そうかと思ったら、作戦だったり、死んでしまったのかと思ったら、やっぱり生きてたりとソーどころか観ている人達(まぁ勘のいいやつならすぐ気づくだろうけど)までも徹底的に騙し抜くそのトリックスターっぷりは、さすがと言わざるを得ない。(ジャジャーン!!が個人的にツボ)
悪戯好きの神の本領発揮と言った所か。
そんな彼でも母親代わりであったフリッガの死にはさすがに堪えていたようで。
ソーとの言い合いでロキが放つ「私の怒りを信じろ。」は名言。
それにしてもフリッガの葬儀シーンの美しさにはかなり驚かされた。
ブライアン・タイラーが、作曲した本作屈指の名曲「Into Eternity」と3D効果も相まってか、本当に綺麗で見事だった。
これぞ名シーンって感じだな、うん。
この後に公開された、化け物級の傑作ウィンター・ソルジャーやガーディアンズ1作目のおかげで大きく差をつけられ、影に隠れてしまったけど、続きが気になる終わり方だったし、笑える所も多かったので総合的には安定した面白い映画だと個人的には思う。
追記
最後のシーンのモンスターがやたらカワイイ。