「こんなに泣くとは思わなかった」ウォルト・ディズニーの約束 pullusさんの映画レビュー(感想・評価)
こんなに泣くとは思わなかった
『メリー・ポピンズ』の制作秘話を描く話だとは知っていたが、物語の構成が素晴らしく、クライマックスだけでなく、劇中で何度も泣いてしまった。
物語は『メリー・ポピンズ』の生みの親であるP.L.トラバースが映画化をすることを止めさせるところから始まっている。最初から無駄のないストーリー展開で、見るものを惹きつける。また、そのストーリーと同時進行でトラバースの幼少時代が描かれていく。この物語の構成が美しく、ラストに大きな感動を呼ぶ。
皮肉の絶えない気難しいトラバースだが、彼女の幼少時代が描かれていくにつれ、なぜ彼女がそのような性格になっていったのか、そして彼女の『メリー・ポピンズ』に寄せる深い思いというものが垣間見えてくる。決して本人の口からは明かされない"過去"が、同時進行という形で観客に語りかけるのだ。
もちろん物語のだけではなく、音楽にもディズニーらしさが伺える。ディズニーならではの"ミッキーマウシング"の技法も作品内に散りばめられているのだ。そして有名な『メリー・ポピンズ』の曲も効果的に使用されている。
最後にキャラクターへの愛情のそそぎ方に涙をそそられる。出てくるキャラクターすべてに、それこそトラバース専属の運転手にまで愛情をもてるキャラクター作りをしている。
大人向けの作品ではあるが、やはり最後は夢と希望で幕を閉じる、ディズニー映画であることは間違いなかった。
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