「バンクス氏の救済」ウォルト・ディズニーの約束 みゅうさんの映画レビュー(感想・評価)
バンクス氏の救済
原題を直訳するとこんな感じなのかな。
単にウォルトの手腕を見せていくお話かと思えばみんなの心の中にいる「バンクス氏」を救済していくお話です。ディズニー映画あるあるなのか他の輸入映画もなのかなんなのか邦題と実際の話がミスマッチですね。エンドロールのタイトル観てようやく合点がいきました。
あらすじはメリーポピンズの映画化をめぐり原作者のパメラが渡米して実際にウォルトディズニーカンパニーに乗り込み、どんどん口出ししていく話。自分のアドバイスを一言一句違わず記憶させるために会議ではかならずテープを回して録音させ、しかもときには無茶すぎる要求までするなどウォルトの映画化にはかなり難色を示した。
60年代のパメラと彼女の子供時代のカットが交互に出てくる。主役は完全にパメラ。ウォルトじゃありません。彼女の絵に描いた英国婦人っぷりはなかなか憎めない。気品があって危なげな感じもないからでしょう。
アニメ界のカリスマ・ウォルトは存在せず、パメラの説得に活躍したのは運転手のラルフやシャーマン兄弟という印象。ウォルトはただのかわいいおっちゃんにしかみえない。
古き良きオーストラリアや60年代アメリカを味わえるファッションやセットも良かった。
中身に深く言及するとウォルトもパメラもめちゃくちゃ良いお父さんを持ってるとは言えない。パメラのお父さんも観る人が観れば毒親だと思うかも知れない。でも人間って完璧じゃないから子供を愛していても理想通りの家庭はなかなか築けないじゃないですか。だから大人になって両親の気持ちもわかる。なんだけど子供の頃の嫌な記憶を思い出して「こんな風に愛されたかったんだよ!」とか逆に「こんなに愛されてるのに嫌な気持ちになるのはわたしはダメな子だった!」って思うのは誰にでもあると思う。
両親、今回は特に父と自分の関係を見つめるのにアリな映画。