「悪人なしでも悲劇は起きる」偽りなき者 arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)
悪人なしでも悲劇は起きる
誰が悪いというわけでもない。
しかし、悪人は登場せずとも悲劇は起きるのだ。
大抵は直ぐに嘘と分かる他愛ないものだが、子供は平気で嘘をつく。
子供は無垢かもしれないが、感情で動くし、自分がしたこと(自分のついた嘘)がどんな結果をもたらすのか想像するには幼い。
もしも、クララが家族の中でちょっとした孤独を感じていなかったら、
もしも、兄がクララにポルノ映像を見せていなかったら、
もしも、ルーカスが元小学校の教師ではなくもっと幼い女の子の対応に慣れていたら、
もしも、ルーカスがハンサムでなかったら、
もしかすると、クララはあんな嘘はつかなかったかもしれない。
ルーカスが陥った状況は不幸な偶然が重なった結果起きたものだが、それを引き起こした社会の闇(子供に対する性的虐待)や親たち(大人たち)の心配は現実のものだ。
心配が疑いを生み、一度生まれた疑いを消すのはとても難しい。
ルーカスが陥った状況はいつどこで起きてもおかしくない。
だからこそ、この映画は恐ろしいのだ。
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