劇場公開日 2013年4月13日

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「入魂一滴ではなく混入一滴」天使の分け前 マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0入魂一滴ではなく混入一滴

2013年4月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

人生の大逆転を賭けた大一番というのが予想していたのと違った展開だったが、ジャンルが想像と違っていたというだけで、これはこれでおもしろい。

社会奉仕活動の指導者・ハリー以外、主要人物のほとんどが経験の浅い役者ばかりだが、それぞれのキャラの持ち味が出ていてキャスティングがいい。
とくにゲイリー・メイトランドが、ちょっとおバカなアルバート役で最初から最後まで突っ走る。

劇中、蒸溜所の見学がありスコッチ・ウイスキーの製造過程を見ることができるうえ、テイスティングの表現に使う独特の言い回しや樽の開け方など、なかなかに楽しいひとときを提供してくれる。おまけに実生活でもスコッチの権威であるチャーリー・マクリーンが堂に入った本物の仕草でテイスティングし、レア物のオークションの様子まで加えられる。スコッチ・ファンはもとより、酒好きには堪らない内容だ。

最初にも書いたが、問題の多かった青年がスコッチとの出会いから新たな人生を歩み出すといった、しごく真っ当な人間ドラマを期待したら見事に裏切られる。なかなかに一筋縄ではいかないずる賢い青年で楽しませてくれる。

物の価値観を自分の感性ではなく、ブランドと価格、そして他人や世間の風評で判断してしまう人の愚かさをチクリと刺してみせるあたり、なかなか風刺が効いている。

マスター@だんだん