「浮気夫と独善伯母を巡る諸要素で損している」四十九日のレシピ AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)
浮気夫と独善伯母を巡る諸要素で損している
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妊活中に夫が浮気相手を孕ませたことで実家に帰った百合子(永作博美)と、後妻の乙美を亡くし意気消沈の父・良平(石橋蓮司)を中心に物語は進む。百合子は先妻の子で、乙美と共に「出産経験のない女」。終盤、乙美の空白だらけの人生年表に象徴させたように、「子を産まない女性の人生は幸福か」という命題を突きつける。
百合子の傷心と良平の喪失を癒すのは、乙美が遺した暮らしのレシピと在りし日の記憶、そして乙美の命(めい)を受け家事手伝いにやってきた井本の存在だ。井本はいわば乙美の代理として(窓ガラスに書いたIMOTOを逆から見るとOTOMIという明白な示唆)、2人の再生を促していく。
概ね好感が持てる内容だが、生まれてくる子も妻も大事という優柔不断な夫と、産まない女を全否定しながら突如キャラ変して宴会を盛り上げる伯母の人格に現実味が乏しく、話を劇的にすべく創作された嘘臭さが鼻につくのが惜しい。
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