「大勢暴力の恐ろしさ。」探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
大勢暴力の恐ろしさ。
前作を観た時もそうだったんだけど、
今作を観る前に大泉洋は俳優だ!と15回は頭に擦り込んで、
頭の中から「どうでしょう」の芸風(お笑い)を放り出したのち、
ちゃんと向き合わないと(普通そこまでしないか)辛い作品。
一緒に観た友人が、この人ルパン三世みたいな感じだねぇ?と
言っていたが、はぁ~そういう観方もいいかもしれないな^^;
大ヒットした一作目も、個人的にはそれほど感動しなかった。
やはりどこかで、エ~?なんか洋っぽくないとか、おかしな批評を
繰り広げてしまうからで、原作ありきの一応ハードボイルド小説
なんだからと、自分で切り替え、切り替え、観ていかないと辛い。
二作目ともなると、だいたいの設定が分かるため(監督・脚本)
今回はかなり落ち着いて観ていられた。
前作よりも笑いの要素が増えている(アドリブか?)せいもあって、
特に退屈は感じなかったが、相変らず冒頭から中盤にかけての
ノロノロな展開には、けっこう眠くなった…(汗)
何だろう、後半で盛り上げるタイプの(毎回)お話になってるのか、
どうでもいいような下らないエロやアクションシーンがテンコ盛り。
これはワザとなのか、計算ずくなのか、そろそろくるぞ~vと思う
ところでビシーっ!とまたキメにかかってくる。
だったら90分くらいでビシーっ!とキメてくれてもいいんだよ?と
思っちゃうけど、マサコちゃんの過去と事件の真相…なるほどねぇ、
やっぱり今回もこう持ってくるのか。と、そこまでの引っ張りへの
不平不満を払拭する人情話が繰り広げられる。
じゃあ探偵の失恋話って何だったの?なんて、ここで誰も思わない。
でも今になって思い出しちゃったりするのよね^^;下らない場面って。
大泉&松田コンビは今回も絶好調!?という感じで、相変らず
緩いのか太いのか分からないような微妙な繋がりがけっこう面白い。
ヒロイン尾野も関西弁を駆使してハジケまくり。政治家の渡部も
後半ギリギリまで怪しさを醸し、さぁどうなる?と思ったところで
意外な展開を見せてくる。
蓋を開ければ、あ~やっぱりね。そうきたか。のありふれた人情話も
これだけ引っ張られると、そうかなるほどね…となるから不思議。
で。
今回の意外な犯人像も特筆モノだったけど…^^;
やっぱり特筆に値してしまうのがこのお二人。波岡一喜と安藤玉恵。
それ、演技なんですか?アドリブですか?…まさか素だったりとか?と
聞きたくなるくらいの大熱演。意味が分からない、のは当然なんだけど
もはや絶大な存在感を醸すこのお二人を本編から省くワケにいかない。
大泉が彼女に発する言葉(何語?)も不思議なテンションで場をさらい、
お前はスタントマンか!?と見紛う波岡くんのテンションに絶句する。
今時そのマフラーか?の松重さんもステキだし、トモロヲも女々しい。
というわけで豪華なテンションの脇に支えられ、何とか2も滞りなく…。
しかし、なんて根深く怖いのが人間の持つ憎悪。
先日の「藁の楯」もそうだけど、何であの行動になっちゃうんだろうか。
大物政治家がこの政策をやり遂げるためには…と語るシーンでは、
かの「リンカーン」を思い出させる。一市民でもあったマサコちゃんが、
誰に何の迷惑をかけたというんだろう。大勢が加担する暴力の凄まじさ、
恐ろしさに、アンタら正義の味方にでもなったつもりなの?と問いたい。
(電車のシーンは笑える反面エラく怖かった。撮影も苦労しただろうね)