「煌めく花たちへ。」ウォールフラワー ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
煌めく花たちへ。
この監督が脚本を書いた「RENT」は大好きな作品だった。
儚くて瑞々しい感性に満ちた描き方は本作でも変わってない。
監督自身が書いた原作は読んでいないが、
発売当時は社会現象を起こすベストセラーになったらしい。
タイトルの如し、壁際の花。
こう呼ばれて嬉しい人なんて、きっとどこにもいないはずだ。
高校デビューに失敗した(初めから諦めていた?)チャーリーは
ある日、思い切ってパトリックという上級生に話しかけてみる。
意外にも彼をアッサリと受け容れてくれたパトリックには
義妹のサムがいて同じく意気投合、楽しい高校生活がはじまる。
あ~良かったねぇと思うと、実は三人共ある秘密を抱えていた。
この、抱えている秘密というのが其々にヘビーな問題で(本当に)
特に言葉では最後まで明かさないチャーリーの心の傷が
実は彼が人間関係を円滑に運べない原因になっていたのである。
けれど現在を生きている彼らには、夢も希望も未来もあるわけで、
その辺りの救い方が非常に巧い。どんな悪夢も一瞬にして訪れる
「煌めき」が消してくれると信じている彼らが、本当に愛おしくなる。
自分が若い頃あんな風に感じたりしたことはなかったかと、自身に
問いかけてしまうような危うさと懐かしさが入り混じり、その後の
人生をどう生きてきたかを考えさせられる。とはいえ、この作品は
上から説教を垂れてはこない。周囲の大人に為す術などないのだ。
総てを自分で感じ取り、考え、選択し、突き進むのが彼らの人生、
さまよえる青春に意味を持たせることが、今作のテーマといえる。
主演の三人がとにかく素晴らしい。
L・ラーマン、E・ワトソン、E・ミラーの若手とは思えない、
でも各々の年齢に匹敵する確かな演技力。
他作を引き摺らない脱皮度に彼らの成長を感じ、ただ驚くばかり。
「なぜ、あんな相手を選ぶのか」との問いかけに、
「自分に見合うと思っているからよ」という応えがストレートで痛い。
(エズラは本当に松潤に似ている^^;次回はショコラティエ役かしら)