「ブルジョワ青年の憂鬱」革命前夜 arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)
ブルジョワ青年の憂鬱
60年代当時のイタリアがどんな空気に包まれていたのかが分からないと、ブルジョワ青年ファブリツィオの抱える苛立ちや憂鬱に共感するのは難しい。
しかし、彼の憂鬱は撮影当時弱冠22歳だったベルナルド・ベルトルッチの憂鬱そのものだったんだろう。
しかし、ファブリツィオは友人の死(自殺ともとれる事故死)や、若く美しい叔母ジーナとの関係を経て、懐疑的だった筈の同じブルジョワ階級の娘との結婚に流されていく。
「愚かで生意気で、ただ話すだけ。分かっているつもりで、何も分かってない」
結局、ジーナがファブリツィオをなじったこの言葉が全てなのかもしれない。
しかし、このセリフを役者に言わせたベルトルッチ自身もまだ若かったことを考えると、やはり早熟の天才だったのか?
後の作品にくらべれば、若さゆえの粗さも見受けられるが、カメラの位置など並々ならぬセンスを感じることも確か。
60年代のヨーロッパの映画はどれもファッションに注目してしまうが、今作でもジーナのアクセサリーを含めたスタイリングが素敵です。
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