劇場公開日 2014年9月27日

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聖者たちの食卓のレビュー・感想・評価

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4.5自分と向きあわされる映画。

2018年6月18日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

単純

幸せ

作る、食べる、片付ける。その様がたんたんと描かれている。
 最初と最後に簡単なテロップが流れる、途中寺院に掲げられている教義のような言葉が映され、字幕がつくだけ。
 特に、BGMをつけるわけではなく、その場の音を拾う。言葉がわかれば何が語られているかわかるのかもしれないと思いつつも、”生活音”として拾っているだけなので、彼らの出す音がBGM。そんな音すら、音楽に聞こえてくる。

黄金と白亜、そして揺蕩う水。
 それだけでも美しいのに、人々の色の洪水。女性のサリーやパンジャビスーツのあでやかさ、しなやかさ。綿・絹・麻?そこに施された刺繍の見事さ。ため息が出る。

そして人々の顔。ひたすら自分の仕事をこなす人々。談笑する人々。休んでいる人々。ふと、自分が映されていることに気がついて、それぞれの反応をする。若者が自分を映せとばかりに寄って来るのは世界共通か(笑)。
『ベルリン・天使の詩』の天使にでもなったような気分だ。

インドはカーストがあると聞いたのに、老若男女だけでなく、富める者も貧しそうな者も、皆同じように働き、同じように食べる。なんなんだ。
 無料食堂というと、日本の派遣村のように、お金がない人々にお金がある人々が恵んであげるスタイルかと思っていた。なんなんだ。
 『聖者たちの食卓』とあるから、信者が神様へのお供え物を作る様の映画と思っていた。なんなんだ。
 そんな私の思い込みを撃ち砕いていく。

そんな風に、映像を見ながら、自分との対話が続いていく。
自分だったら?とか、今の自分の生き方と比べたり。
作る、食べる、片付ける、沐浴する。
ただそれだけなのに、なぜか断捨離して、心が満ち足りていく。

(イベントでの上映会で鑑賞)

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とみいじょん

4.5観に行って良かった・・

2014年11月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

幸せ

車と電車と早歩きを合わせて二時間半かけて映画館まで観に行った甲斐があった。
「この前お正月だったのにもう大晦日・・」みたいな、いろんなことをいっぱいやったけど、結局一体何をやったのかわからず一年が過ぎてしまう忙しい日本人の人達に見てもらいたい。

毎日10万食の無料の食事提供。
台詞のないスクリーンの中に映し出される、ごちゃごちゃになってしまいそうなぐらいの大勢のボランティア。
その人々の、与えられた役割を淡々と、さらっとこなしていく姿がとても面白かったし新鮮だった。
喧騒の中で、整然と秩序正しく繰り返されるその作業風景が、見ている私の心をなぜか落ち着かせた。
やっていることは世界中から賞賛されるべき高尚なことなのに、「毎日のことなんで特に聞かれても・・(困っちゃう)」風な(そんな台詞はもちろんなかったが)ボランティアの人々の、ひょうひょうとした「普通さ」・・気負いも、自己犠牲感も、自己陶酔感も、自己満足的な感じもまるで感じさせないごく当たり前の日常・・的な感じに、かえって静かに感動し、圧倒されてしまった。
神様から見た「聖者」って、きっとこういう人たちのことなのだろう。

私も仲間に入りたい。
頭がわきそうなぐらいの沢山の情報はもういらない。
今までもそうだし、これからも特に誰からも注目されなくていい。
涙を流しながら玉ねぎを切る大勢の中の1人になりたい(でも、できたらジャガイモ係・・)
信仰に裏打ちされた、選択肢が少ないがゆえの自由な世界・・そんな状況に憧れる。

整然と、同じことがきちんと繰り返されていく…この映画のほとんどを占めるそんなシーンが私には心地よく、日々仕事や子育てでストレスに満ちた心身を静かに緩め、優しくほぐしてくれた。

すごいことなのに、気負いがなく「ふつう」って素晴らしい。

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momoya

2.5つまらない

2014年10月14日
iPhoneアプリから投稿

単純

寝られる

2回見たけれどやっぱりつまらなかった
この手のドキュメンタリーは割と見ている方だと思う
最近イメージフォーラムで見たリヴァイアサンは楽しめたし
アテネフランセの特集でワイズマンの作品にも幾つか触れている
題材に興味が湧いた時は見るようにしている
ドキュメンタリーが結構好きなのだと思う
しかしこれはうまく乗ることが出来なかった
1回目直感的にも駄目だったし
2回目も印象はあまり変わらなかった
禁欲的な制作姿勢を肯定的に捉えたい気持ちも無くはないのだが
これを認めたくないという気持ちの方が強い

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ニック

4.0限り無くシンプル、だから考えさせられる

2014年10月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

幸せ

シク教総本山、黄金寺院で日々休まず提供される、無料の食事。
収穫して、作って、食べて、片付けて、をひたすら映し続けるだけのミニマルドキュメンタリー。

インドに長く旅行していたこともあり、宗教のあり方だとか生きる意味だとか、無駄に壮大なことを考えている。シンプル極まりない作りが、色々と考える余地を与えてくれた。

どこに住んでも何に属しても、どんな人間だって食わなければ生きていけない。宗教を大義名分として人殺しをする輩がいる一方、教えに従って人を生かすために日々働く人がいる。いや、「働く」という気負いも感じられないほど、皆当たり前に、毎日毎日休みなく、膨大な量のニンニクを剥き、チャパティの生地を丸め、風呂釜のような鍋を磨き、ばかでかい寺院を掃除する。10万人の食事を提供するための、数万人ほどもいそうなボランティアたちの仕事ぶりは、オートメーション化された機械のようにスムーズに流れる。この作業が現実に、これを書いている今も同じように、当たり前に、営まれていることが信じがたい。見返りもなく、偽善者丸出しで誰かにアピールするわけでもなく。

宗教が人間を分断するんだ、なんて考えることもあったけど、宗教云々ではない、結局教えをどう受け止めるかはその人次第。神様がいるかどうかは知らないけど、人間は、食べて生きていくということは100%揺るがない事実。それを支える、この人達の姿の尊さ、ああ、なんかあの眼力に疲れたこともあったけど、自分には無いすごいもの持ってんだな、と、今さらじわじわと実感し、感動し、ちょっと泣いてしまいました。

1日参加してみたい。が、タマネギ係にはなりたくない。

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chibirock