「限り無くシンプル、だから考えさせられる」聖者たちの食卓 chibirockさんの映画レビュー(感想・評価)
限り無くシンプル、だから考えさせられる
シク教総本山、黄金寺院で日々休まず提供される、無料の食事。
収穫して、作って、食べて、片付けて、をひたすら映し続けるだけのミニマルドキュメンタリー。
インドに長く旅行していたこともあり、宗教のあり方だとか生きる意味だとか、無駄に壮大なことを考えている。シンプル極まりない作りが、色々と考える余地を与えてくれた。
どこに住んでも何に属しても、どんな人間だって食わなければ生きていけない。宗教を大義名分として人殺しをする輩がいる一方、教えに従って人を生かすために日々働く人がいる。いや、「働く」という気負いも感じられないほど、皆当たり前に、毎日毎日休みなく、膨大な量のニンニクを剥き、チャパティの生地を丸め、風呂釜のような鍋を磨き、ばかでかい寺院を掃除する。10万人の食事を提供するための、数万人ほどもいそうなボランティアたちの仕事ぶりは、オートメーション化された機械のようにスムーズに流れる。この作業が現実に、これを書いている今も同じように、当たり前に、営まれていることが信じがたい。見返りもなく、偽善者丸出しで誰かにアピールするわけでもなく。
宗教が人間を分断するんだ、なんて考えることもあったけど、宗教云々ではない、結局教えをどう受け止めるかはその人次第。神様がいるかどうかは知らないけど、人間は、食べて生きていくということは100%揺るがない事実。それを支える、この人達の姿の尊さ、ああ、なんかあの眼力に疲れたこともあったけど、自分には無いすごいもの持ってんだな、と、今さらじわじわと実感し、感動し、ちょっと泣いてしまいました。
1日参加してみたい。が、タマネギ係にはなりたくない。
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