「タイムパラドクス・ホラー」恐怖ノ黒電話 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
タイムパラドクス・ホラー
同じアパートに住むジョージ(ルイス・ガスマン)から色々と情報をもらいながら、過去の住人について尋ねるメアリー。元夫のスティーヴンからのストーキングにも怯えてはいたが、大学講師のジョンと知り合い、何かと助けてくれるようになった。
過去の女ローズはボビーという男に求婚されつつも、自分の元を去ろうとしてることなどを相談し、次第にメアリーを親友と思うようになっていた。しかし、徐々にローズのことを鬱陶しく思うようになり冷たくするメアリー。ジョンの忠告もあり、ローズとの電話友達を断ち切ろうとしたのだ。そしてローズが現在どうなっているのかをも知ろうとするが、福祉局ではよくわからず、ジョージに確かめてみると、1979年にはローズはボビーに去られ、失意の末、自殺したと教えられる・・・
過去のローズが自分の指を切断して手紙とともに庭に埋めたものをメアリーに掘り起こさせたり、おしゃべり男を見つけたと言い、ジョージを殺害し、メアリーの部屋=ローズが移り住んだ部屋の壁に埋めたりした。ジョージが住んでる部屋を訪れると、そこには次の住人がすんでいた!驚き・・・ローズが実行することにより、未来=現在が徐々に変わっていくのだ!
ジョンとの仲が急発展し、新たな生活が始まると思ったが、彼の存在をうとましく感じた過去のローズは、1979年に子どもだったジョンを殺してしまうのだ。ジョンの両親を訪ねたところ、30年も前に死んだと告げられる・・・
さらに1979年のメアリーにも近づいたローズ。幼いメアリーに大やけどを負わせると、現在のメアリーに大やけどのケロイド状の皮膚が浮かび上がってくるのだ・・・それを電話で実況するきちがいじみたローズ。なんとか反撃をしたいとメアリーは過去のニュースを調べ上げ、ボーリング場の火災で17人が死亡という記事を利用する。ところが運悪くローズはそこに行けず、メアリー自身にも魔の手を忍ばせてくるのだった。しかも現在において・・・メアリーとジョンは推定30代。ローズは70歳くらいになってるのだ。
SFの定番タイムパラドクスをホラー映画にする手法はお見事でした。孤独で大人しい性格、しかも自殺したはずのローズが、恋人のボビーを殺し、ジョージもジョンも殺し、極端に悪魔的な性格に変貌を遂げていく恐ろしさ。しかも電話口だけでしか表現していないところが面白い(最後にはチラッと凶悪ぶりな姿を見せるが、まるで『ミザリー』のよう)。
ただ、残念なのは、1979年の時系列が現在の時系列と同時進行なのかどうかよくわからない点。幼いメアリーが大やけどを負ってからすぐにまたローズの傍にいたからだ。また、携帯電話も持っているんだから、母親にはそちらを教えておけばいいのに・・・とも。ローズだけを恐怖の対象にしておけばいいのに、扱いにくい狂ったようなストーカー元夫も最後に登場させ、メアリーが殺してしまうことも(描かれてはいないが)。