劇場公開日 2015年5月29日

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「テンポ感とキャラクターの関係性の見せ方が良い。」ピッチ・パーフェクト すっかんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5テンポ感とキャラクターの関係性の見せ方が良い。

2019年5月26日
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鑑賞方法:VOD

作品全体について
ほぼ全編通してテンポのいいガールズトークが続くコメディが良かった。メインのメンバー全員の個性を活かしていたかと言われると微妙だけど、さりげない一言とか目線で誰が誰をどういう風に見ているのかを感じ取れる会話シーンが多かったと思う。
シーンごとの切り替えも、舞台パートもとにかく小気味よいカット割り。まさしくテンポを意識した映像だった。映像的には平凡な部分が多かったけど、終始楽しく見れた。

カメラワーク
コメディ映画であることを前提にしても、舞台パート以外のカメラワークが単調。ベッカとジェシーの距離感を詰めるカットバックとTUは良かった。
ベッカがオーディションを受けるとき、ベッカ以外のキャラクターを色んな画面分割で見せるのが良かった。メインたるベッカをどう写すのかも注目してたけど、一人だけステージで座って歌うというアイデア。これもまた良くて、オーブリー達の心を動かす距離感の近さの演出として有効だった。
舞台パートもステージ演出特有の回り込みや左右に動かす映像が続くのはつまんない。ライブ映像とかならまだしも、映画の中の舞台くらい新しいものが見たいと思ってしまう。これは他の作品にも言えることかも。

その他
オーブリーとクロエの関係性が最高に良い。本作最大の見どころ。冒頭の「事件」によってサークルに残された二人。考えが決して近いわけではないのに水面下にある信頼関係が見えかくれするセリフ、カメラワークが猛烈に良い。
革新的なベッカを評価しつつも保守的なオーブリーを思いやるクロエの優しさが表出したときのオーブリーの態度にも注目。クロエの感情を理解しているのような視線を送るのが百合チック。最後の舞台シーン、序盤のクロエのソロパートは画面手前にオーブリーを置き、振り付けの一環であるものの、オーブリーの方へ体を向ける。二人の特別な関係性を示してくれる、すごく良いカットだったと思う。

すっかん