「親は子供の為なら諦めない」ウォント・バック・ダウン ママたちの学校戦争 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5親は子供の為なら諦めない

2017年7月12日
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鑑賞方法:DVD/BD

興奮

知的

幸せ

ヴィオラ・デイヴィスが「ヘルプ」で主演オスカーを逃した翌年、再びオスカーを狙うも不発、日本では劇場未公開となり、知ってる人が居たら奇跡くらいの作品だが、なかなかの良作。
コメディかB級っぽい邦題は何とかならなかったのか。

失読症の娘を抱えるシングルマザーのジェイミー。
娘に劣等生のレッテルを張った学校に抗議の声を上げるが、学校は全く取り合わない。
そんな時、同じ障害の子供を抱える教師ニーナと出会い、学校の変革に立ち上がる…。

アメリカの教育現場の現状を描いているので、日本人にはピンと来ない…?
いや、いや、いや!
日本でも保育園不足とか、その為に自ら保育園を経営したとかいうニュースがあり、本作の訴えやメッセージはとても通じる。

この学校の対応が酷い。
失読症で他の生徒にからかわれ…いや、いじめられてるのをその目で見てるのに、何も注意しない。
落ちこぼれの生徒は居る…って、ハァ!? 教育する側が言っていい言葉か!?
テメーらみたいな役に立たん無関心の落ちこぼれ教師どもがどれほど居る事か。
ジェイミーとニーナは署名を集め始める。
我関心ナシと言った他の保護者たち。彼らは、自分の子供が同じ境遇だったら騒ぎ立てるのに、そうでなければどうでもいい。自分たちの子供を預けている場の事なのに。
同僚から咎められるニーナ。同僚たちは自分の職場に不満は無いのだろうか。普通、誰だって自分の職場に不満は少しはあるだろう。それは、真剣にその仕事をしてるから、もっとこうした方がいい、ああした方がいいと思うからだ。それが当たり前だ。
そして言うまでもなく二人の前に立ち塞がる権力側の壁…。

教育現場の現状を変える…と見るとちと難しそうに思えるが、作品の真の訴えはシンプルだ。
親は子供の為なら何が出来るか。
序盤でジェイミーが教師に言い放った台詞が印象的だ。
「親は子供の為ならトラックだって持ち上げる。私はもっと凄いわよ」
オチと言うか、確かに学校に変革をもたらし、凄い事をした。
しかも本作は実話を基にしているのだから、非常に胸がすく。

マギー・ギレンホール、ヴィオラ・デイヴィス、ホリー・ハンターら実力派の好演。
中でもマギー・ギレンホールがエネルギッシュに、快活に、凄い美人ではないけれど生活臭のある色気をも滲ませて魅力的でもあった。

近大