「田中裕子に尽きる」はじまりのみち カモシカヤマネさんの映画レビュー(感想・評価)
田中裕子に尽きる
やっぱり田中裕子。田中裕子に尽きる。
この映画を観た多くの人が語っている、息子に髪や身だしなみを整えてもらう母のシーンがたまらなく素晴らしい。
それを黙って見ている周りの登場人物たちの、なんとも言えない無感情なのが、特によい。
母と息子の短いロードムービーだ。
映画監督・木下惠介の生誕100周年記念作品ということもあり、木下監督の映画シーンのつなぎ映像が全く感動的にもならない継ぎ接ぎで、長回しされている。
これには参ってしまったが、記念作品だから仕方ないと思って諦めて見続けた。
それでもいいと思えるくらい、田中裕子の出ているシーンが全てよかった。
加瀬亮もとても良いが、兄役のユースケサンタマリアがすごくいい味わいがあった。あまり俳優としては好きじゃなかったのだけど、この作品の彼は雰囲気がとても合っている。
そして濱田岳。飄々として頭も意地も悪そうなのに、憎めない。最後は観ている者の気持ちをかっさらって気持ちよく清々しく退場していった。
3回も繰り返し鑑賞してしまった映画。
コメントする