「ちょっと学芸会じみて映画的には笑えない出来でしたね」コドモ警察 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
ちょっと学芸会じみて映画的には笑えない出来でしたね
悪の組織の放った特殊ガスによって子供にされてしまった神奈川県警特殊捜査課のメンバーたちの活躍を描いたTVドラマの劇場版。
ポイントは、鈴木福をはじめ、子役たちがどんな演技をしているのか楽しみに劇場へ足を運びました。しかし、コドモ警察らしさを狙ってか、敢えて子供らしさを誇張した演出のため子役らはの台詞回しが滑舌が廻らず、舌ったらずなんです。
そのため大人の俳優たちの演技レベルとのキャップを余計に感じてしまって、まるで学芸会のように見えてしまいました。
鈴木福が一生懸命に「太陽にほえろ!」のボス役の故・石原裕次郎さんを思わせるニヒルなせりふを語るほどに、モノマネ芸人の全く似ていないモノマネ芸を見せられているようで、違和感が募ります。やっぱり、こういうぶっ飛んだ設定の筋書きのものは、徹底して、本物に似せるこだわりを持たせないと、余計に嘘くさく感じるだけです。
小手先で、大型のマシンガンを肩に担がせたり、三つ揃いのスーツやサングラスで衣装を似せたり、はたまた恋人とグラスを傾けるシーンでは、バックに『ブランデーグラス』を流したり、必死にそれぽっさを出そうとしているのですが、所詮は小手先のこと。
著名俳優のモノマネと子供っぽさの強調が真逆で、しっくりこなかったというのが、この作品の根本的な消化不良ポイントでしょうね。
他には、“アラサー”の女性刑事・マイコ役の本田望結ちゃんは結構頑張って、『あぶない刑事』の浅野温子らしさを出してはいました。またおしゃれでプレーボーイのエナメル役の相澤侑我くんは、オリラジの藤森らしさに挑戦して、チャラ男ぶりを発揮してはいたのですけどね。
加えて、警察庁のエリート刑事・間聖四郎役としてアイドルグループ「Sexy Zone」のマリウス葉も主要な役どころとして登場するのですが、はっきり言って芝居が下手。子供たちに負けないくらいの台詞の棒読みを披露してくれました。
あと気になるのは、ベタな物語のつなぎ方。メンバー全員の日常は、大人であることが隠蔽されて、それぞれ正体を隠すため県警より委託された一家の子供として、生活を送っているのです。それはいいとして、頭脳派のスマートが過ごしている武藤の日常の描き方がかなりベタなのです。疑似の母を務めている千種は、スマートの正体を知っているのにもかかわらず、子役タレントとして売り込もうと奮闘します。でも、このストーリーで、わが子でもない刑事を、任務を妨害してまで売り込むなんてあり得ない話でしょう。
さらに、強引にオーデションに連れたいった先には、 佐藤二朗が演じるドラマのプロデューサーが待ち構えていて、『幼獣マメシバ』風に、ナンセンスさを大爆発させるからたまったものではありませんでした(^^ゞ
さらにストーリー展開も、突っ込みたくなるところが沢山。敢えて言えば、犯罪組織・レッドヴィーナスのボス役が、後出しジャンケンのように次から次へエンドレスのように登場してしまうのはうんざりです。
最後に登場するボスは、絶対にあり得ない意外な人物。なんで、と突っ込みを入れようと思ったら、この意外なボスの登場も、やっぱり下っ端だったりして、これじゃあ、いつになったら特殊捜査課とレッドヴィーナスのボスの直接対決が見られるのやらわかりません。子役のファンの方以外は、なかなかお勧めしがたい作品です。今のTBSの勢いを象徴しているかのような作品でしたね(^^ゞ
まず、子役の演技についてですが、監督が『子供らしいたどたどしい演技』と『たどたどしい発音』を
要求したと語っていました。
鈴木福に関しては元々滑舌が悪いため、それを膨張し演じさせたと語っていました。
マリウス葉については『たどたどしい発音・演技のために起用した』と語っていました。
この映画はストーリを含め細かいことにこだわる映画ではないと思っています。