「やや、散漫な印象。」メイジーの瞳 bashibaさんの映画レビュー(感想・評価)
やや、散漫な印象。
メイジ―という名前の少女が両親の離婚に遭遇し、更に別れた両親が新たに各々のパートナーを得て、合計4人(男2人、女2人)の大人に接していくという話です。結論から言うと、子供のメイジ―を含め、5人の登場人物の心の動きを追っていかなくてはならないので、どうしても、人物造型はどこか手薄になってしまいます。私がレビューのタイトルに掲げた文言にはそういう意味があるのです。この映画を観ている間、私の頭の中にあったのは、かつての名作「クレイマー、クレイマー」です。この映画は子供とその両親の3人に焦点を当てていたので、登場人物の心理の掘り下げ方もなかなか深いものがありました。
この映画に出てくる人間は総じて穏やかな性格で、メイジ―が悲惨な経験をすることもありません。その点では安心して鑑賞することができます。
最後の場面は唐突にメイジ―が船に乗りこむところで終わるのです。これ、どういうこと? と疑問に思っていたのですが、沢木洪太郎さんに拠ると、この映画はヘンリー・ジェームスの小説を基にしていて、その原作の中では、メイジ―は船に乗り込み、そこから彼女の新しい人生が始まるのだそうです。(朝日新聞のコラムの受け売りです)この点に関しては、この作品、随分、不親切だな、と思いました。もう少し、何らかの伏線を張り巡らせておいて欲しかったですね。☆2つ半という若干、厳し目の評価にしたのはそう云う事情があったからです。まぁ、そうは云っても決して悪い映画ではありません、念のため。
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