「切実な「生」のレイヤー」フラッシュバックメモリーズ 3D カネコさんの映画レビュー(感想・評価)
切実な「生」のレイヤー
民族楽器「ディジュリドゥ」の使い手、GOMA。
2009年、交通事故に遭い高次脳機能障害により活動休止。
そして、FUJIROCK FESTIVAL’11で奇跡の復活。
想像するに、その見えない日々の移ろいには「壮絶」としか
言いようのない現実があったんだろう。
そんな私の思いを補填してくれたのが、この映画でした。
この映画が画期的なのは「3D」自体が極めて重要な「演出」なのです。
渋谷WWWでのライブの模様、その背景に過去のプライベートビデオ、
GOMAと妻すみえさんの日記、彼の書き貯めていた絵などが次々と広がります。
特筆すべきは、さらにこの映像をご覧になったGOMAの手記が被さっていきます。
現在、過去、そして未来。
その「生」のレイヤーの重なりに、自然と涙が流れてきたのを覚えています。
躍動するライブ、トライバルな音のうねりを受けながら、
切実な、どうしようもないほどの切実な「生」の実感をそこに見ました。
終演後、後ろにいた男性客がぽつりと、
「これはGOMAさんのために作られた映画だな」と言ったのが印象に残っています。
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