「健全な二人の恋を邪魔するものこそ障害」箱入り息子の恋 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
健全な二人の恋を邪魔するものこそ障害
天雫(あまのしずく)健太郎、35歳、市役所勤め。超が付くほどの真面目、几帳面。内気な性格故、35年彼女ナシ。
そんな息子を心配に思った親がセッティングした見合いで、盲目の令嬢・奈穂子に一目惚れし…。
春の陽気のような暖かな作風。
中学生…いや小学生のような初々しい二人の恋。
一歩間違えれば変質者になりかねないかもしれないが、不器用で一途な健太郎の健気な姿。
ほっこり、きゅんきゅん、クスッと笑えるハートフル作!
(少々シュールな展開もあり(笑))
主演二人の好演が映画をさらに魅力的にしている。
本作が映画初主演のミュージシャン・星野源がハマり役! 先に見た「地獄でなぜ悪い」もそうだが、何故かこういう役がよく似合う。
奈穂子役の夏帆は、異常なくらい可愛く撮られているッッッ!! そりゃああんなに大怪我しても忘れられないわ~。
恋した事で自分の殻を破る健太郎。
健太郎のサクセスストーリーであると共に、障害者との恋についてもそれとなく考えさせる。
順調だった二人の交際だったが、奈穂子の父が大反対、障害が立ちはだかる…。
結局その“障害”と言うのは、親の事。
紙切れ一枚で相手を判断し見下す親、子離れ出来ない過保護過ぎる親。
障害ある娘を心配する父の気持ちは充分分かるが、それはつまり娘を障害者として見ている事にもなる。
健太郎も“コミュニケーション下手”という障害者かもしれない。
しかし、見合いの席での緊張しながらの発言に、健太郎こそ最も誠実で真っ当な健常者であると感じさせた。
健太郎と一緒に居る時の奈穂子の幸せそうな笑顔。
クライマックスの健太郎の全力疾走。
二人の恋を温かく見守らずにはいられない。
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