「キャラクター設定が素晴らしく、スターウォーズに影響を与えたのも納得」隠し砦の三悪人 p.f.nagaさんの映画レビュー(感想・評価)
キャラクター設定が素晴らしく、スターウォーズに影響を与えたのも納得
映画の冒頭は、太平と又七のコンビの後ろ姿から始まる。ラストシーンもこの二人。この二人の他、雪姫も重要なキャラクターで、三船演じる六郎太だけが目立つ映画ではないところが魅力。太平と又七のキャラクター設定がよくできていて、観ていて身近な話に感じる効果がある。仲が良いようだけど喧嘩もよくするという、腐れ縁のような関係は、R2D2とC3POのモデルになったというのも納得できる。美しいだけでなく、気の強い雪姫のキャラクターもこの映画の質の高さを印象づける効果があり、ぴったりとはまっている。
殺陣もこの映画の魅力。六郎太と田所兵衛との殺陣は、刀ではなく槍なので珍しい。大きく移動しながらの殺陣は緊迫感があって見どころのひとつだろう。馬に乗って逃げる相手を六郎太が馬で追いかける殺陣は、ハイレベルな騎乗技術とスピード感に驚く。このシーンもスターウォーズ/ジェダイの帰還のスピーダーバイクのチェイスシーンのモデルらしい。
ラスト近くで雪姫が「雪姫は楽しかった。この数日の楽しさは城では味わえぬ。人の美しさを、人の醜さをこの目でしかと見た」と話す場面がある。ここは、ローマの休日の「ローマです。なんと申しましても、ローマです。私が生きている限り、ここでの思い出を生涯大切にするでしょう」というセリフを連想した。ただ、年代はローマの休日が1953年、隠し砦が1958年で影響を受けた側になる。
この映画について、タイトルの「三悪人」とは、誰を指すのか、という議論があるが、やはり太平と又七の二人は「三悪人」に含むのではないかと思う。(すると、残る一人は当然、六郎太だろう)確かに、悪人と呼ぶには軽くて庶民的すぎるようにも思う。しかし、「金」を運ぶという“打ち首ものの役目”を必死に果たそうとしているのだから、そう呼んでも良いのではないか。