劇場公開日 1958年12月28日

「魅入ってしまう!!!」隠し砦の三悪人 とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0魅入ってしまう!!!

2021年5月10日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

興奮

萌える

なんて面白い映画なのだろう。
なんて気持ちのいい映画なのだろう。

 何度となく繰り返される二人の掛け合い。観客を映画の世界へ導いてくれる導入・狂言回し、かつ物語のアクセントであるものの、人の”生”を、忠義のために命を粗末にする武将との対比で、謳いあげてくれる。
 そして三船さんの登場。『羅生門』の山賊や桑畑・椿と比べると、なんと品のあることよ。なのに、姫に振り回される感じがなんともかわゆい。そして他のレビューでも絶賛される騎乗のスタント。それ以外のスタント。
 雪姫の立ち振る舞い。化粧は妖怪かギャグかとびっくりするが、不思議なことに物語が進んでくるうちに美しく見えてくる。所作のキレ、着物の裾裁き、お見事。候補に挙がった女優ではお気に召さず、ずぶの素人の上原さんが抜擢されたらしい。セリフ回しにも最初度肝を抜かれるが、これまた、終盤格好良くキメてくれる。
 途中で加わる女。最近のつまらない映画やドラマを見ている身が予想する動きの上を行く。まだ、人の”信”が生きていた時代なんだなあ。
 そして、敵の将。江戸時代300年のうちに”忠義”のあり方が捻じ曲げられてしまったけれど、戦国時代はまだ、誰に命を託すか選べる時代だったんだなあ。己を知って、”活か”してくれる上司に使えたいものよ。

国盗り物語故の残酷な場面はある。
 でも、上に立つものが、下の者の命や生活を気遣い、下に使えるものが上に立つものの立場を思いやるという筋に、
 一緒に旅するものをもだまくらかしての逃避行ーいつばれるのか、
 敵陣を突破する逃避行ーその危難の越え方、
が、意表を突くような方法で、わらしべ長者のように、一つの展開が思いもよらない展開を生み、と楽しませてくれる。

しかも、それがダイナミックな、心あらわれる映像・音楽で展開。

観ないと損をします。

とみいじょん
グレシャムの法則さんのコメント
2021年10月4日

このレビューも映画に負けず、とても気持ち良く拝読させていただきました。

もし、リアルタイムでこの映画を見た人が身近にいたら、その後の人生でこれ以上の映画ってありましたか?
って聞きたくなりました。

グレシャムの法則