「スリル大炸裂の敵中突破!」隠し砦の三悪人 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
スリル大炸裂の敵中突破!
DVDで2回目の鑑賞。
ノベライズは読了済み。
黒澤明監督作品の中でも一際エンターテインメント性が強い本作。ストーリーも「如何にして敵中突破を成し遂げるのか」と云う一点に注力している単純明快さが心地良い。その過程をハラハラ・ドキドキの展開で紡いで行く手腕が見事!
三船敏郎のカッコ良さ。千秋実と藤原釜足のコンビのコミカルさ。「裏切り御免!」な藤田進。演技初挑戦の上原美佐の男勝りな姫っぷり。…登場人物が全員が魅力的でした。
黒澤作品初のシネマスコープ画面いっぱいに炸裂するダイナミックなアクションが本作の魅力のひとつでございます。
六郎太が刀を構え、手放しで馬に乗り騎馬武者を追い掛ける場面は、実際に三船敏郎が演じているなんて本当にすごい。
背筋がピシッと伸びて、憤怒の形相で敵を追撃する姿は、まさに本物の武士のようで、迫力たっぷりだと思いました。
一寸先も見えない暗闇の中、銃弾の雨あられを逃げ回る場面は筆舌に尽くしがたいスリル。手に汗握るとはこのこと。
散り散りになってしまった隠し砦の面々ですが、追い詰められた先に待ち受けていた華麗な逆転劇が痛快の極みでした。
危機また危機、それを乗り越える知恵と奇策の面白さに最後の瞬間まで目を離すことが出来ませんでした。とことん、エンターテインメントの楽しさに満ちた作品だと思いました。
[余談]
樋口真嗣監督のリメイク版も観ましたが、本作の出色した出来には到底及ばず、なんともかんとも言いがたい出来になっていました。サブタイトルが英語なのも気に食わない。
[追記(2021/10/02)]
「午前十時の映画祭11」で初めてスクリーン鑑賞し、感無量でした。4Kリマスターされた映像の美しさに痺れたのはもちろんのこと、何度観てもハラハラさせられるストーリーの面白さ、個々のキャラが立っている登場人物を体現したキャスト陣の演技の素晴らしさに心奪われました。
[追記(2023/08/26)]
新歌舞伎座にて舞台版を観劇しました。人生初、舞台演劇を生で観劇です。舞台化に当たっての変更点(特に、「裏切り御免!」のシーン)は微妙なところもあり不満が残りました。
しかしながら、俳優さんが目の前で演技をしているってだけですごいし、まさしく肌で感じると言うか、アクションも感情も全てがダイレクトに伝わる感覚が新鮮でした。
おそらくアドリブであろう演技がとても可笑しくて、演者も思わず吹き出してしまっているのはその日限りのライブ感があり、舞台劇ならではの面白味だなと思いました。
ライブに行ったことの無い坂道シリーズのファンとしては、ゆいぽん(櫻坂46・小林由依)の姿を生で拝見出来たことが幸せでした。オリジナル版の雪姫にも負けない凛々しさと美しさを醸し出す演技が良く、澄んだ歌声に聴き惚れました。
[以降の鑑賞記録]
2021/10/02:大阪ステーションシティシネマ(午前十時の映画祭11,4K)
2023/08/25:Amazon Prime Video(東宝名画座)
2023/08/26:舞台「隠し砦の三悪人」(新歌舞伎座)
※修正(2024/04/19)