「見たかったのはそこじゃない」LOOPER ルーパー waspさんの映画レビュー(感想・評価)
見たかったのはそこじゃない
GW 映画でも見に行こうと予告編をチェックした中で、ストーリー、キャストともピカイチだったのが本作。単館上映でしたが、連休を利用して見てきました。
キャストは非常に良かったです。主演のジョゼフ・ゴードン=レヴィットとエミリー・ブラント、この2人は期待を裏切らない演技で、どんどん話に引き込まれました。個人的に好きな俳優ポール・ダノも、小物感たっぷりの演技で楽しませてくれました。
ただ主人公の30年後を演じたブルース・ウィリスに関しては、最後まで「無駄遣い」という印象を拭えませんでした。彼の存在感と脚本がマッチしていないとでもいうのでしょうか、見せ場は多いのにあまり見せてくれませんでした。
残念だったのがストーリー。SFアクション映画と思って見てみたら、ヒューマン・ドラマでした。
ブルース・ウィリス登場までは未来からのタイム・トラベルとLOOPERという職業についてストーリーを進めつつ説明していて、とても楽しめました。
そして、とうとう「現代の自分」と「未来の自分」との戦いが始まったと思いワクワクしていたら、あっという間に「レインメーカー」と母親との親子の絆の話へ移ってしまいました。もちろんどちらの話も並行して進んでいますが、脚本の重きは後者寄り。
特に気になったのが、未来の犯罪組織。LOOPERを雇って現代社会を支配しているはずが、単なるピストルをもったギャング集団になってしまい、最初のころにあった得体の知れない薄気味悪さはどこにもなくなってしまいました。
SFという舞台を作っておきながら本筋と外れたヒューマン・ドラマを見た印象です。設定を詰め込みすぎに感じました。舞台やキャストが良かっただけに残念でした。