劇場公開日 2013年1月12日

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「タイム・パラドックスによるSFサスペンスの秀作」LOOPER ルーパー マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0タイム・パラドックスによるSFサスペンスの秀作

2013年1月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

知的

この映画での現代とは2044年で、タイムマシンが開発されたのは2070年代初期という設定だ。
法律で禁止された“タイム・トラベル”をこの世界では”タイム・ループ”といい、それは犯罪組織(未来)による処刑のために行われる。その処刑執行人(現代)が“ルーパー”というわけだ。また、犯罪組織がルーパーとの契約を打ち切ることを“ループを閉じる”という。
では、ルーパーが処刑に失敗したらどうなるか。そこが大きなポイントで、まずその前例を見せる演出は常套だが、組織の掟が分かるうえ、タイム・パラドックス(時間の逆説)が苦手な人でも話についていけるようになっている。

もうひとつ重要なのがルーパーの処刑専用銃“ラッパ”だ。殺傷力はあるが至近距離用の散弾銃で遠くの標的にはまったく向かないのだ。これがラストへの伏線となる。

現代のヤング・ジョーを演じるジョゼフ・ゴードン=レビットは、目元のメイクと歪めた口でこれまでの甘いマスクを封印、まるで別人のようにクールな処刑人になりきっている。
SFの原点ともいえる「自分はどこから来てどこに帰るのか?」の問いに答えを見い出すショッキングなラストも、ただのアクション・スターでは表現できなかっただろう。

ブルース・ウイルスも秀逸な脚本と共演者しだいで、ただドンパチやってるだけじゃない奥のある娯楽作品にふさわしい演技を垣間見せる。
ただ、あくまでも主役はゴードン=レビット。予告篇からは想像もつかない「人は変われるのだ」というテーマを語るSFサスペンスの秀作。
少年・シド(ピアース・ガニョン)の面構えも見もの。

マスター@だんだん