「ミクスチャー感覚の勝利」LOOPER ルーパー カネコさんの映画レビュー(感想・評価)
ミクスチャー感覚の勝利
ジョセフ・ゴードン=レビットは、立ち姿がとても美しい。
その佇まい。憂いをたたえたシルエット。ノワールが似合うはずだ。
特に、こんな謎だらけの物語にはうってつけの俳優だ。
一方、ブルース・ウィリスの「偉大なるマンネリズム」は決して揺るがない。
「ダイ・ハード」の粗暴さを引き連れて、物語を掻き回していく存在だ。
この対照的な2人が織りなす1人の男の「過去」と「未来」。
タイムパラドックスによるタイマン勝負。
しかし、ここから物語はツイストに次ぐツイストを重ね、驚愕の結末を迎える。
このセンスの塊のような映画は、類い稀なミクスチャー感覚の賜物だ。
アクションシーンの焦れったいカメラワークはご愛嬌。
というより、この映画に通底する「美意識」に裏打ちされたものだ。
あけすけなまでに今と地続きな未来像は、SFながら皮膚感覚に訴えてくる。
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