「劇場で見ることが出来てよかった」劇場版銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ 坂月 行雲さんの映画レビュー(感想・評価)
劇場で見ることが出来てよかった
まず一番よかったのが、劇場で味わえた一体感だ。
劇場に足を運ぶお客さんは、ほとんど銀魂を知っている、銀魂のファンだと思う。
そのファンたちと一緒に、銀魂を鑑賞するとどうなるか。
これはくさい言い回しになるが、とてつもない一体感を味わえた。
ファンの皆が、キャラのもつ魅力を知っていると思うし、
劇中で描かれる「ああ、このキャラはこういう立ち回りね」とか。
そういう知識を共有して、みんなで楽しもうとして見る。
笑いどころでは劇場全体がまさに「どっ」と笑う。(これは本当に劇中の音をかき消すくらい、あるいは負けないくらいの笑い声に包まれた)
そしてシリアス部分では皆神妙な雰囲気になる。
この一体感を味わえたことが、まずすばらしく感動だった。
映像コンテンツ(特にアニメ)はインターネット上、あるいは自宅なんかで摩耗されておしまい。なんてことが多い昨今だけど、劇場である意味の「共同体」を作れたという部分。
「笑い」という要素が多分に含まれている銀魂だが、その「笑い」と「笑いがない時」、つまりギャグとシリアスの対比がこういった、僕が感じたような深層でのコミュニケーションを可能にするのだと思う。このギャグとシリアスのバランスなんてのは、銀魂の持つ醍醐味の一つだ。
後、今回もアニメでみせたような相当のメタネタを含んでいる。
特に序盤から……あらゆる大御所を巻き込む膨大なネタの数々。
現実の境界線と、虚構の線引が劇中で大きく揺れ動くその「やりたい放題」感が最高のエンタメを僕達に提供してくれるのである。
アニメ全シリーズを見続けてきて、まさしく「集大成」と言える出来だった。シリーズの延長線上(あらゆる演出も含めて)にこの脚本も、声優さんの演技も、スタッフの技術力も……全てが全て積み重なってこの完結編が存在していると思う。
アニメシリーズでは、シリアス一辺倒になったりして、少し間延びする部分が、僕的には退屈な時期もあったのだけど、この映画は最後まで笑いを呼びこんでくれる。
好きなキャラたちが躍動し、一緒になって戦う。
僕達は、一緒になってみる。
その姿勢に、強く心打たれ、銀魂の好きなファンなら引き込まれるでしょう。
変わらぬ銀魂のキャラたちの世界が、そこにあります。
かなーりファン視点の感想になりましたが、ファンなら絶対、見に行くべきです。出来ることなら、人がいっぱいいる劇場で。
制作陣と、スタッフ一同に経緯を表します。あと、劇場特典で愚痴ってた空知先生にも。
個人的に小林ゆうさん演じるさっちゃんのとあるシーンの熱演がすごかったです。要チェック。