「匂いのモト」共喰い 小二郎さんの映画レビュー(感想・評価)
匂いのモト
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昭和臭が漂う映画。
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原作は、ドロドロとした人間関係を描きつつも、どこか冷めていてクドくない。案外、古臭くない小説だと思った。
映画も中盤まで、ほぼ原作通りに進む。
主人公の菅田将暉がイイ。真剣だがそこはかとなくボンクラだ。
女優さん達もイイ。三人とも違うタイプだが堂々としている。
あと、小道具さんの仕事ぶりも楽しい。蚊帳の中のモジャモジャしすぎた張形や、釣竿にぶら下がるふたなりの鈴など、チョイ下品で笑う。
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映画後半、原作から離れ脚本がプチ暴走する。クドくない話がクドくなり始める。脚本家・荒井晴彦センセイの「いっちょヤッたるで」的な鼻息が荒くなる。この「いっちょヤッたるで」な感じが、昭和(団塊)っぽい。本作の「恩赦うんぬん」のセリフは、荒井氏の30年前の作品『もどり川』にも出てきて、懐かしさすら漂う。
この辺りが、本作に漂う昭和臭のモトなのかもなあと思う。
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