「狙いはわからなくもない」HIT&RUN arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)
狙いはわからなくもない
証人保護プログラムの下、田舎町で暮らすチャーリー(チャールズ)・ブロンソン(←偽名)。
この町で知り合った恋人アニーと将来を誓い合うが、大学で教える彼女にロサンゼルスの大学から仕事のオファーが。
彼女と別れたくないチャーリーは危険を侵して彼女と一緒にロサンゼルスへ移ることを決意するが、アニーに未練のある元カレやチャーリーの担当監察官、そしてチャーリーが裏切った元相棒たちが二人の後を追う。
恋人の過去というのはカップルにとってしばしばトラブルの元になるものだが、チャーリーは文字通り過去を捨て別人として暮らす身の上。追われる二人の関係もギクシャクしだすが、将来を誓い合う仲ならチャーリーの過去についてはもっと前に二人の間で問題になってるはず!
というように、狙いはわからなくもないが、ストーリーも台詞もキャラクターも上手くかみ合ってないし、振り切れてない印象が強い。
ヒロインを演じたクリステン・ベル(監督・脚本・主演の三役を務めたダックス・シェパードのプライベートのパートナーでもある)はなかなかチャーミングだったし、チャーリーの監察官を演じたトム・アーノルドも悪くない。しかし、チャーリーの元相棒のアレックスを演じたブラッドリー・クーパーの役作り(ドレッドヘアにジャージ)には違和感しか感じなかった。
アメリカでの知名度はどの程度なのか分からないが、少なくとも日本でのダックス・シェパードのそれ程高いとは思えない知名度をカバーするだけの作品のクオリティはない。
でもチョイ役でボー・ブリッジスとかジェイソン・ベイトマンなんかが出演している辺り、人望はある人なのかも。
自分で選んだというチャールズ・ブロンソンはあの俳優からではなく、イギリスの有名な囚人からだとか(『ブロンソン』)、仲間の銀行強盗を逃がすのが仕事だったとか(『ドライブ』)とか、そのままニコラス・ウィンディング・レフンなんですけど!