許されざる者のレビュー・感想・評価
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オリジナルに忠実でありながらも、キャラクターの外見的な設定と、舞台の置き換えが素晴らしくてあきない。
この作品の元は、イーストウッド氏の監督としての出世作。
オリジナルは大好きで、何度も見ていて、先日もテレビで放送していたので、また見てしまった。
何度見てもあきない素晴らしい作品で、個人的には、生涯でもベスト10には入る映画です。(あまりにもベタなので、レビュー等は書いていない)
それを日本でリメイクするというので、それだけでうれしくなって見に行った。
予想では、オリジナルがあまりにも素晴らしい作品なので、ここがダメ、あそこがダメ、ということになって、結局つまらなかった、ということになるだろうと思ったが、それでもいいと思っていた。
でも、予想に反してすごく面白かった。
ストーリーや台詞は、設定の説明的な部分の他は、内容的にほぼ同じで、バカ正直なくらい変えていない。
演出的なところも、ちょっとだけ違うけれどもほぼ同じで、期待を裏切らない。
それではオリジナルには勝てないからつまらないのか?というとそうでもない。
違うのは、キャラクターの外面的な設定と舞台設定なのだけれども、これは比べれば、比べるほど、面白くなってくる。
舞台が、開拓時代のアメリカ西部→明治初期の北海道
主人公のマニ―やネッドが、昔のならず者→旧幕府軍の残党
キッドが、近眼のカウボーイ→アイヌと和人の混血の若者
こんな感じで、置き換えがすごくうまくて、味があり、興味深い。
特にイングリッシュ・ボブのくだりは最高だった。
イギリスが長州藩になっていたのには思わずうなった。
それから、武器をさしだすところが、小銃が小刀になっていたのもすごい。
最後の銃身のひん曲った拳銃が、折れ曲がった刀になっていたのには笑った。
こんな感じで、何度も見ていて、細かいところまでつい比べてしまう人には、キャラクターの外面的な設定や、舞台設定等を比べると面白くなるようになっていて、この映画で初めて見る人には、オリジナルに忠実なストーリーや演出で、名作テイストが味わえるようになっていました。(昔一度だけ見た、という人はつまらないかも・・・?)
ただ、最後の酒場でのガンファイトの置き換えと、結びでオリジナルのテーマを少しはずしたような感じになっていたのが残念だったけど、全体的にはかなり成功しているリメイク作品だと思います。
リメイクの必要性は感じないけど…
演技良し!演出良し!!ロケーション良し!!!
良しが三つの(静岡限定ネタ「かしら?)このところの邦画の中ではピカイチの一本でございました!
原典を見事に醤油味に換骨奪胎出来ていましたし、芸達者なオヤジ陣のおかげで深みも出ておりましたし。
でも、今一つ完全にノリ切れないのは…「セデック・バレ」や「ローン・レンジャー」と同じ部分なんですよね。
しかも、微妙に中途半端に感じてしまって…涙
ともあれ久々に骨のある大作邦画なのは確か!若い人にこそ観に行ってほしい作品でございます。
ん?
辺境の地に逃げ落ち、一度は牙を抜かれた殺人鬼が、追い詰められ、次第に本能を取り戻していくってな展開。大義名分なんてお構いなしに、ただ人を斬って斬って斬りまくる、そんな男のお話でした。ラストの殺陣は迫力があって見物!
…ってか、リメイク作らしいけど、原作ってこんなんだったっけ?
やっと観れました
ずっと観たかったのですが、やっと観れました。
期待通り、と言うか期待以上でした。
あまりにもかっこよすぎるシーンは・・・・と思っていたのですが、適度で良かったです。
女郎役の方もなかなか。
日本でもここまでできると言う感じです。
心に染みました。
こういう作品を映画館で観るのは初めてでした。
主演の渡辺謙さんが大好きなので、
是非見てみようと映画館に足を運んでみました。
やはり時代ものは、空気が違います。
すっーとして溶け込むような空気。
家族への思い。自分自身との葛藤する姿。
いろんな意味でも深く思いのこもった作品でした。
見終わった時は涙が止まりませんでした。
無法者達の伝説が聞こえる
ついオリジナルと比べてしまいますが、西部劇を開拓時代の北海道の雪原に翻訳したのは大成功。猛者や無法者達の伝説がまことしやかに聞こえてくる舞台にはうってつけで、見応えがありました。
主人公・釜田十兵衛と行動を共にする青年・沢田五郎が印象深かったです。
五郎の身の置き所ない孤独、十兵衛が、彼だからこそ感情を動かされるのはとても自然なことに思えました。柳楽優弥が熱演でした。
村を牛耳る大石一蔵はオリジナルでジーン・ハックマン演じる保安官にあたる役どころ。一番注目していたのですが、だいぶ厭世的で大人っぽくちょっと残念、保安官の稚気を含んだような所が魅力だったと思います。
渡辺謙にはどうも多湿なイメージがあるので西部劇は合わないんじゃないかと思ってましたが、低温多湿な雪原にはピッタリで良かったです。
許せる!
渡辺謙筆頭に俳優陣もよく、原作通りでニヤッとするようなシーンもあり、クライマックスの殺陣も良かった!
序盤から中盤にかけて、それとラストシーンもだけど、言葉に頼って説明しすぎというか、特に十兵衛に対する説明が多く冷めてしまったかなあ。
なんかもっと漠然と「昔はたくさん人を殺したすごいやつ」って感じで、なんか暗い過去もありそう?ってのをにおわすくらいでよかったのに、こうこうこういうことがあった。
そしてこうした。
ってのは説明しすぎな気も!
1番残った印象は足の骨、ぐろかった。
ほんとに偉そうに言えば悪くない出来でした。
名作を糞リメイクしてぶち壊さなかったというだけでも許せます!笑
けっこうよかった
日本映画でもこのような本格西部劇が描けるのかとワクワクした。
しかしどうしてもイーストウッドと比較してしまうのだが、渡辺謙にもうちょっとおじいさんが足りなかった。馬に乗るのもおぼつかない冒頭の場面では、イーストウッドは老い、渡辺謙は久しぶりだからといったように意味が変わっていた。
これを糧に日本でも本格西部劇のような雰囲気のアクション時代劇をもっと作って欲しい。
これぞ映画の一級品
“巨匠”のアニメに落胆した後だったので、「映画ってこういうのだよな」と思える映画でした。脚本、演出、撮影という監督の技量とそれにこたえる役者の演技、それに美術・音楽とどれもが素晴らしく心で感じられる映画を邦画では久々に見ました。豪華俳優陣のキャスティングに目が行きますが、北海道の自然を捉えた映像美と村のセットがすごい。ウェスタン映画のアメリカ西部開拓の要素をたくさん取り入れながらもまったく違和感なく明治初期の北海道開拓の時代を感じられる点も感心しました。
こういうのを見るとアニメ映画の存在意義がわからなくなります。
久々に出来の良い邦画を観た。
丁度今観ている八重の桜と重なる時代背景なので深く作品を理解出来ました。渡辺謙、柄本明、佐藤浩市、柳楽優弥、小池栄子の好演は期待を裏切りません。特に今回は、謙さんの背負ってしまった罪の重さと手放したシアワセに、対する深い悲しみと、一皮剥けた柳楽君のいつもとは違うタイプを演じた、哀しみを背負い生きて来て、今後は罪を背負って生きていかねばならぬ青年の姿には心揺さぶられるものがあります。是非映画館で観ていただきたいオススメの作品でした。
キャスト・ストーリーに違和感が
渡辺謙は大好きなんだけど、人を切ることの苦しみ、または殺人の経験からくる刹那感のような、もう少し深みが欲しかったような気がします。
柄本明は違和感ありあり、世代的にもう少し若ければ良かったのか、いい人なのか、悪い人なのか、優柔不断なだけなのか、弱いのか、キャラと俳優がマッチしていないようでした。
小池栄子はツヤが良すぎ。
人を切ること、北海道の置かれた時代、もう少し苦しみぬく人間の姿が見たかった気がします。
上映時間が長く感じました
謙さんで4.0
中身のない映画
道具立てやキャストには力が入っているが、ともかくプロットが悪い。
主人公の十兵衛は、子供のことを考えて行動を開始するが、自分の行いが、どんな結末をもたらすかも考えず、最後には自暴自棄に陥るような人格で、『論語』でいう下愚とは、このような存在かと思わせる。子供が父親と会えなくなる悲しさを理解できない男なのだから。いくら金を渡しても子供の心は癒えない。非常に単純な人格なのである。
こうした人格を見せられても反面教師にすらならず、何も学ぶことがない。
さらに一蔵は、傷害事件を馬で肩代わりさせる理不尽な男で(あるいは女郎屋のオヤジから賄賂を取ったのかもしれない)、またお金で殺人を依頼した女郎たちに裁きを下さない。公平な立場になら、お梶も金吾と並んで拷問を受けているのが筋だろう(これにも裏があるのか?)。法の番人たるべき一蔵は、公平さもない悪人だが、十兵衛よりは複雑な人間かも知れない。
女郎に憐れんで(感情移入して)プロット展開を考えたのだと思う。その気持ちは分かる。可愛い「なつめ(女郎)」を傷つけた奴を許さんぞ。それは分かる。ただ、その情念に流されて他の事が見えなくなり、平板なプロットになってしまった気がする。へたをすると学生が自己満足で作った映画のようになってしまう。
エンターテイナーは、自分の描きたい世界を描く自由を持っている。それと同時に、お金を出して見に来てくれる観客に学びと満足を与える使命もある。もちろん、これは人それぞれの感想であるから、この映画について断定するつもりはないが、個人的には学ぶことは何もなかった。
こういう作風は、かつてデカダンを標榜する映画にも見られたが、
最近は少なくなり、日本映画が隆盛を取り戻しつつある。だが、意味なき芸術主義がはびこると、再び冬の時代が来ると危惧する者である。
イーストウッドの精神は本作にもしっかり生きています
オリジナルのイーストウッド版は今まで何度も観ていて大好きな一本です。
このオスカー受賞作品を日本でリメイクすると言う、もしかしたら鼻で笑われてもおかしくないハードルに挑戦した関係者たちの勇気は素晴らしいと思います。
そして…
よくぞここまで仕上げてくれた。
オリジナルにオマージュを捧げつつ、ちゃんと肝を押さえ、日本流にアレンジを加えた見事な作品だったと思う。
これなら全然恥ずかしくないと思います。胸を張って良いのではないでしょうか。
ここまでに仕上げてくれた関係者の皆様に最大の敬意を表したい。
リメイクは難しいですね
クリント・イーストウッド版は大好きな作品でしたので、どうしても比べながらの鑑賞になってしまいました。
見終わったとき今一釈然としなかったので、改めてハリウッドバージョンも見た上で書いております。
この映画のテーマは正直まだ漠然としか理解できてなくて、でも両方から同質のメッセージを受け取ったように感じます。
表現してみると、「過去に行った事は忘れる事も無視する事も許されず背負っていかねばならないが、縛られることはない、ということ。そして法(ルール)では許されても人として許されないことがある」と今は理解しておりますが。
今回のリメイクは、出演者の質はある程度高く、十分に鑑賞に堪える出来と思いました。
あと、エンディングはこちらの方がよりテーマに沿った内容かもしれませんね。
ただ、改めて見直してみて、やはりイーストウッド版の方が話運びも自然でスムーズ。リメイクにあたり変更した点・加えた点がほぼ全て余計なものとなっており、筋立てやらキャラやら色々なところに軽い破綻が見受けられました。
特に、柄本明演じる古い相棒の設定がかなり変更された結果、拷問で責め殺されても「非道い!」と感じる心が非常に薄れてしまいました。「自業自得」がしっくりきてしまう。
前作では、モーガン・フリーマン演じる同役は確かにかつて悪人でしたが、既に引退して妻と平穏に農業を営んでいたところを主人公に引っ張り出され、いざ人を殺そうとした時に、「もう人を殺せない自分」に気づき旅に出た事を後悔していました。なのに捕まって拷問され、さらし者にまでされたからこそ、「なぜ彼が・・・」と感じ、主人公の怒りにも共感できたのでしたが。
アイヌの方々が受けた苦難を多少なりとも描いたことは評価すべきと思いますが、全体としては成功したリメイクではなかったかな~。
久しぶりにしっかりした邦画を観た
イーストウッドの同名作品(1992)と、筋書きや台詞がほとんど同じだが、初めてこの作品に触れる人は存分に見応えがあるだろう。とくに極限の中で生き抜く力を一本の刀に懸けた男の生きざまは魂を揺さぶり、邦画の醍醐味を十二分に味わわせてくれる。
ほとんどオリジナルに近いと書いたが、本格的に開拓が始まったばかりの北海道を舞台に、髷を落として間もない元武士階級のいがみ合いと、和人移住の増加に伴い北海道の先住民であるアイヌの生活や文化が破壊されていく様子を絡めて、邦画としてリメイクした価値を高めている。
一度、刀を封印した男が再び刀を振るうまでの葛藤は、さすが渡辺謙、奥が深い演技を見せる。
幼い子たちの糊口を満たすために立ち上がってはいるが、この時点で本気で刀を抜く気にはまだなっていない。刀でケリをつけなければならないところまで追い込まれた男の凄みを出すところまでじっくり見せてくれる。
このケリをつける意味合いがアメリカ版と日本版で微妙に違う。アメリカ版は腐った人間どもを町から排除する意味合いが強く、本人は意識していないかもしれないが町を救った“英雄”という言葉がちらつく。いっぽう本作は、男の眠れる魂に火を着けたのは友への憐憫であって、そこには“情け”という言葉が似つかわしい。したがって、自ずとラストから受ける印象は異なる。
イーストウッドのオリジナル版よりも黒澤映画を意識した作風に見えた。
これで、渡辺謙以外の役者が、声のトーンをもう少し落として、気持ち台詞をゆっくり喋ってくれたら作品がもっと落ち着いた。
また、女郎たちと賞金稼ぎの接点がまったく描かれていない。そもそも何故、男たちが遠く鷲路まで集まってきたのか説明がない。賞金の噂を流布する手立てが描かれていないため、話が唐突に進む。オリジナルの真似をすることはない。
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