「100回書き直すこと。」100回泣くこと ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
100回書き直すこと。
鑑賞後、今作のレビュー幾つかと原作の感想を読んでみた。
私は原作はまったく知らず、更に映画化にあたっての変更
(ずいぶんと内容を変えているらしい)も知らなかった。
なので、原作もこういう話なのかな?と思っていたのだが、
ずいぶん酷いことが書かれていて悪いけど笑ってしまった。
原作があまりにつまらないので脚本を大幅に変えてみたら
もっとつまらない作品になってしまった。…あらららら^^;
どうなんだそれは。何のために書き直して映画化されたの?
脚本も問題あると思うが、演出にも疑問が残る。
ワザとそういう風に作ったんだろう、演じさせたんだろう、は
分かるが、冒頭から「何これ?」と思わせる展開というのは
如何なものか。
主人公は4年前にバイクで事故を起こし、その一年前の記憶が
ないらしい。
その一年間に彼女がいた訳だが、そんな過去が明かされるのは
ずっと後になってから。
何やら事情を知っている友人や同僚の論議が続いて、観客は
(あらすじを知らなければ)何じゃらほい?状態。これには困る。
少なくとも悲恋物語に仕上げるからには、
主人公二人に感情移入できなければ、最後まで痛いまま終わる。
そんな致命的な「?」を今作は冒頭から冒しまくる。
記憶喪失の過去があるのに、なぜそんなに明るいんだ?^^;と
いう大倉忠義と、
病魔に侵されてるわりには、あまりに元気で強気(細いけど)な
桐谷美玲。
まったく普通の恋愛劇ならいいのかもしれないが、
これだけ重い内容を抱えてるにしては(演出の問題もあろうが)
アッサリ元気すぎていてこれで泣けるはずもない。
彼らの問題を必死に説明してくれるのは(観客に分かるように)
親友らしいともさかりえと、佳美の父親の大杉蓮くらいだ。
彼らが必死に訴える真意はこちらにも伝わる。
私たち観客だって、あんな「結婚ごっこ」は見ていられない。
後半の後半で、やっと思い出された記憶では、決して佳美から
逃げたわけではなかった過去が証明されるのに、演出が弱い。
どうして肝心なところで感情のピークを持ってこないんだろう。
本当にこの監督の演出には分からない部分が多い。
100回泣けず、100回のあくびが出た。という感想が多いけれど
ラストまで延々と単調な運びが続き、後半の病院を抜け出す場面
では、あんなことができるわけないだろ!的な無謀な行動が続く。
医師や看護師はいったい何をやっている?
普通あれほどの末期だったら、ナースステーションの傍だろーが。
…ダメ出しばかりの感想になってしまったけれど、
今作には唯一、大笑いしてしまう場面がある。
それこそが「解熱の舞い」。
大倉忠義、キミに悲劇の主人公は似合わないことが分かりました。
(今度は100回笑わせてみたら?あ、それはいつもやってるのか^^;)