「淳美のタイツが明かす首長竜の正体」リアル 完全なる首長竜の日 plesiosaurusさんの映画レビュー(感想・評価)
淳美のタイツが明かす首長竜の正体
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この映画、ラブストーリーと言われても、ハッピーエンドと言われても、すんなり納得できない人が多い。特に、後半の展開は往年の黒沢ファンですら、首をかしげている。なぜ、首長竜をあそこまで暴れさせたのか?
このページのトップの画像で淳美がはいているタイツはグレーのまだら模様。ワインレッドのワンピースがすっきりしているのに比べて、何ともいえないおどろおどろしさ。これって、まるで首長竜のヒレみたい。えぇってことは、淳美も首長竜?
そういえば、首長竜は淳美に従順で、淳美が「やめなさい」と命令すればすぐに浩市への攻撃をやめている。首長竜がモリオの化身であれば、惚れた弱みということかもしれないが、そもそも首長竜は、子供時代の淳美が浩市にプレゼントしたペンダントに由来する。首長竜が淳美の化身であっても不思議はない。実際、宣伝ポスターの淳美の瞳の中に首長竜がいる。
浩市への愛がワンピース姿の淳美であり、浩市への執着が首長竜の姿の淳美である。そう考えると、首長竜の乱闘シーンは、浩市を救いたい淳美と浩市を罰したい淳美のバトルであり、淳美が執着を捨てた(ペンダントを首長竜に差し出した)から、浩市を救うことができたのだ。
この構図、オンディーヌ(海の精霊)や人魚姫の恋愛譚に似ている。ってことは、淳美はすでにあの世の人? まさしく、原作では、淳美(に相当する登場人物)は子供時代に海で溺れて亡くなっている。首長竜は、幾多の人命を呑み込んできた海の象徴である。
ボッシュのだまし絵のように、興行プロモーションとは全く違う物語がこの映画には仕込まれていると、思わずにいられない。
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