舟を編むのレビュー・感想・評価
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先生がいい!
加藤剛演じる「先生」がいい味。
「ザ・辞書の監修者」という感じの見た目で、実際に学者肌で用例採集に真っすぐな堅物な面もあるけれど、穏やかで、暖かくて、荒木さんが定年退職で去る時にはものすごく落ち込んで、マクドナルドに潜入するぐらい若者言葉にも興味津々でとてもチャーミング。こんな風に齢をとりたいと思った。
あと西岡も良かったな。泣きながら「おれこいつと結婚するわあ」のところなんて名演技。
軽くみえて、後輩への思いやりや仕事への熱い想いをもっている役を完璧に演じていて、さすがオダギリジョーだった。
映画の内容的には、ごめんなさい、小説の方が良かったです。。。
松田龍平、小林薫、オダギリジョー、宮崎あおい、黒木華、と誰もが知る豪華な面々だったのが、小説に思い入れがある人間からすると「軽くみえて」「どこか嘘っぽくみえて」逆にダメな方に作用したような気がする。宮崎あおいなんて、もうその存在だけで別世界にもっていかれちゃうし。
でも、長い年月かけて一つのことを成し遂げる醍醐味は健在でした。幸せな仕事だとあらためて羨ましくなった。
※「用例採集」自分もそういえばやっていることに気づいた。紙に鉛筆で書き溜めるのではなく、スマホのメモ帳だけれど。 言葉を集めるのは、面白い。
言葉を尽くす仕事を
大傑作です。なぜみてなかったのか、いや多分、いま観なければいけなかったんだと思う。
ドイツ語のBerufとしての仕事を、これが天命だと人生をかけてやりたいことを見つけないといけないですね。それが辞書作りと言ったはたからみたら地味でつまらないものであってもいいんです。言葉の海を渡る船を編むなんて素晴らしい仕事じゃないですか。そしてかけがえのないドラマが絶対にある。
相手に言葉を伝えること。その意味や意図は伝わらないかもしれない。伝えられないかもしれない。馬締の恋文のように。しかし相手が読み取ってくれるかもしれない。ドラマが生まれるかもしれない。その瞬間は必然的に起こるわけでもないけれど、その可能性に賭けてそれでも言葉を尽くさなければいけない。本当にそう思う。
そして言葉じゃなくてもいい。香具矢のように料理の場合もある。それは言葉で切り分けられ解釈されるかもしれないが、立派な「月が綺麗ですね」だ。
石井監督は言葉の代わりに映画を選び、尽くしたのだろう。気持ちがストレートに届いたから傑作と感じたのだと思う。
間に合わないときはある。尽くしたとしても、運命が待ってくれない時はある。けれど尽くした言葉は、別の誰かに届くことだってある。時空間を渡る言葉。相手の心を揺らす言葉。
言葉を尽くす仕事を私はしたい。
「言葉」という舟を編む
この映画を観て国語辞典を買ってしまった
読み取る力がアップしていた
やっぱり素晴らしい
良い
がっつりと辞書編纂に取り組む
NHK で連続ドラマ化されたこと、映画公開されて10周年を記念して最上映されたので観てきました
墨田区菊川にあるミニシアターstrangerで観てきました。
原作は忘れてしまいましたが、大渡海と言う辞書を作り上げる編集者の奮闘物語ですが、映画では編集長の馬締(まじめ)の辞書部異動や奥さんとなる香具矢との出会いも描かれています。
ドラマでは辞書編纂途中から参加した、みどりの視点で作られています。映画も面白かったのですが、ドラマも面白いのでお薦めします。
舟を編むは大きな劇場ではやっておらず、墨田区菊川のstrangerと言うミニシアターで観ました。ミニシアターはかつては多くありましたが、最近は殆んどみかけなくなりましたね。
言葉の灯台守たちの、知られざる難事業
三浦しおん原作、同名小説の実写化。
【ストーリー】
中堅出版社玄武書房の営業部に勤める馬締(松田龍平)は、辞書編集部の荒木に自分の後継者として引きぬかれ、部署異動する。
荒木は国語学者の松本教授と共に、『大渡海』という辞書編集作業に長い時間を費やしていたが、定年が近づき、妻の介護のためにもその職を離れざるをえなかった。
あまりに膨大な作業を前にしり込みする馬締だが、下宿の大家さんの孫・林香具矢(宮崎あおい)に恋し、友人・西岡(オダギリジョー)にしたためた恋文の感想を聞いたりするうち、言葉の意味について深く考えるようになる。
香具矢との恋が実り、荒木の後釜として主任に昇格する馬締。
毎日飽きずに言葉の編纂に没頭する馬締だったが、コストばかりかさむ『大渡海』計画は、金食い虫として玄武書房上層部で中止の声があがっていた。
辞書編纂という超地味なのにめちゃくちゃ手間のかかる事業にたずさわる、言葉へのこだわりにあふれた骨太お仕事ストーリー。
これが女性向けファッション雑誌に連載されていたというのだから驚きです。
三浦しおんだからと言って、なんでもおしゃれだと思うなよ。
と勝手にオタク仲間認定していた自分は思うのです。
が、この映画がまた地味な出来。
それでも退屈しないのは、演出とフィルム編集の力でしょう。
俳優さんもよかったなあ、宮崎あおいさんを始めて意識して見たかも。大変お美しい方でした。
テレビアニメ版が面白かったから見てみましたが、こちらも傑作でした。
君はなんでもアニメだな。
ここからは閑話休題。
アニメ版の香具矢は声・坂本真綾さんなんですけど、若いころに日本ヴォーグ社刊行の『ゆかた本』という雑誌にモデルとして掲載されておりました。
所用で購入したその本を、数年後見直したらまあ驚き、かの坂本真綾でございましたのざますよ皆さん。
その本の刊行が1998年、当時はまだ誰もが知るような役はありませんでしたが、あれから四半世紀、その後の活躍は皆さんもご存じのとおり、今や押しも押されもせぬ大声優さんですよ。
原作同様、ファッション雑誌つながりということで、ここでその話をしているわけです。ああすっきりした。
こんな駄文ですら、つらねるのに言葉の意味を調べなければならない自分のような暗愚盆暗にとって、遠くでぼんやり光る灯台のごとく、海にこぎ出す道標ともなってくれる辞書。
誰にでもわかるように言葉の意味を限定するという、顧みられることの少ない地道な作業。
いわば言語文化のインフラ整備。
その仕事にたずさわる方々に敬意を表しつつ、このレビューを終えたいと思います。
ありがとうございます。
これからもお世話になります。
完成された名作、でも人を選ぶみたい
言葉を次世代に繋いでいく美しさ 無限に言葉が増え、そして消え行く時...
辞典編纂というマニアック感が小気味よい
本作を徹底したマニアック作と判断できるのは実際の編纂作業に携わった者のみだろうけれど、素人目線ではかなり本腰入れて辞典編纂の過程を見させてくれた作品と感じましたね。
キャストも外れていると感じた人はなく、主演:松田龍平ははまり役だったと思います。
そして大ベテラン加藤剛さんが映画内でも引き締め役の重鎮として見事な存在感を見せてくれました。
オダギリジョーもフニャフニャお調子者の先輩役としてはまってましたね。彼はシリアスすぎる演技は苦しく感じる場合が多いけれど、本作や時効警察のような不定形でつかみどころがないような役をあてがわれると生きてくる印象ありますね。
ただ、ヒロイン宮崎あおいが後半存在感が薄れてしまいましたが、そこはちょっと引っ掛かった点ではありますね。
しかし、まさか本当に辞典完成までの15年のスパンを描くとは思わなかったので、いきなり13年のタイムワープをした時はちょっと驚き。
松田と宮崎がその間夫婦になって子供がいないのは不自然というか淋しいと感じた部分はあるけれど、それだけ辞典編纂パートに重きを置いていたことの表れと取ることで自己納得。
原作では別の描かれ方をしているのかもしれないので、興味ある人は補足として読むといいかも。私は読まないけれど笑
総じてそこそこ楽しめました。総評3.5の三ツ星
大人のトラ猫が随分大人しくいいマスコット役になっていたが、やはりプロの猫なんだろうねと妙に感心。
2010--
物静かな、でも、ディフォルメ的ディテール性に…
もうかなり前になるが、
家族全員でTV鑑賞した時の
かなり面白かったとの印象がある中、
キネマ旬報第2位作品でもあるので、
NHKの放映を機に再鑑賞。
しかし、今回は、
前回ほどの良い鑑賞後感は得られなかった。
多分に世間一般の人からすると、
かなり異質な世界で、
前回はその異質さに心を奪われた結果、
そこに面白味を感じていたのでは
なかったろうか。
今回の鑑賞では、その異質さにも慣れ、
むしろ、物静かな展開ながらも、
よくよく考えると
ディフォルメ的ディテール性に
違和感を感じ、
少し醒めて観てしまったような気がする。
それにしても、この辞書編纂、
ある意味、世の中の全てを知らないと
成り立たない仕事のようにも思え、
私の狭い認識でも可能だった仕事人生が
果たして良かったのかどうか、
悩ましく振り返させられる作品だった。
素直であたたかい気持ちになれる
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