劇場公開日 2024年3月1日

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「時代の流れを強く感じる作品」舟を編む sow_miyaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0時代の流れを強く感じる作品

2025年7月19日
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鑑賞方法:VOD

大変遅ればせながら、ドラマを追っかけようという気持ちになって、第一話を見始めたのだけれど「あれれ? こんな話だっけ?」と思い、途中でストップして、復習のために今作を再鑑賞。

池田エライザは、黒木華ってことかと納得し、ということは、ドラマは映画の後半部分からなんだなということがわかったので、この後、安心して楽しみたいと思う。

という訳で、映画の感想に戻ると、わずか10年から20年ちょっと前だけなのに、出てくる建物や風景、そして何より人々のファッションやメイクに古さを感じて驚いた。
映画の中でも、ファッション誌から異動してきたみどりが、ファッション用語の校正を行う中で「いつの時代の言葉だよ」というセリフを漏らすくらいなので、辞書を作るのにかかる時間と、流行り廃りの目まぐるしさの対比として、あえての表現だと思う。それでも連続して毎日を過ごしていると、その変化って中々見えにくい。同じように、言葉も日々変化している中で、その瞬間瞬間をなるべく新鮮に、かつ正しく切り取ろうという辞書編纂の試みは、常に改訂作業が宿命付けられた、相当な困難を伴う仕事だろうということが伝わってきた。
ただ、これだけ情報端末が普及し、検索しただけでAIによる概要とやらが勝手に示されるようになった現在以降、「正確さ」による信頼性が担保された辞書編纂は、どの様な形で残っていくのか、それとも採算が合わずに出版社からは無くなっていき、国家事業の様な形になっていくのか、はたまたそれすらもなくなって「正確さ」は問われなくなっていくのかなども考えさせられた。

出てくる役者については、芹澤興人が学生アルバイト役で、その他大勢の一人の出演だったのがびっくりした。

それにしても、早雲荘の様な建物は、最近の映画ではめっきり見かけなくなった。さすがに老朽化で現存しなくなってきているのだろうか。

sow_miya
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