草原の椅子のレビュー・感想・評価
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自己中な両親だと思ったら野生の恐竜でした チキショー!
2度目の鑑賞
映画館では未鑑賞
2013年の今頃に劇場公開した作品
原作未読
原作は『優駿 ORACION』の宮本輝
監督と脚本は『ラブファイト』『八日目の蟬』『聯合艦隊司令長官 山本五十六』『ソロモンの偽証 前篇・事件 / 後篇・裁判』『グッドバイ〜嘘からはじまる人生喜劇〜』『いのちの停車場』の成島出
脚本はほかに『だいじょうぶ3組』『彼女の人生は間違いじゃない』『凪待ち』の加藤正人
『バンクーバーの朝日』『グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇』『望み』の奥寺佐渡子
『ソロモンの偽証 前篇・事件 / 後篇・裁判』の真辺克彦
『十二単衣を着た悪魔』の多和田久美
冒頭パキスタン・フンザ
中年男二人と中年女一人と男児
五十の中年男・遠間憲太郎は娘と二人暮らし
ひょんなことから取引先のカメラ販売店社長と親友になる
憲太郎が一目惚れした美熟女が経営する焼き物販売店に度々足を運ぶようになり高い買い物を繰り返す
その帰りに娘が男の車に乗るところを見かけ追跡すると男の家で干物を干していた
帰宅した娘を問いただすと育児放棄で家を出た母親の代わりにバイト先の主任の息子・圭輔の世話しているという
主任が出張で娘は合宿のあいだに憲太郎は圭輔を預かる事になる
喜多川の出張が終わると今度はトラックの運転手に転職したので夜のあいだ預かってくれという
しまいには圭輔を育てることができないと独身寮に引っ越し憲太郎に押しつける喜多川秋春
のちに憲太郎の職場で圭輔の母・祐未と会うことになるがすぐに引き取るわけにはいかないようだ
憲太郎の自宅に訪れ再婚相手が連れ子を拒否したので圭輔は煮るなり焼くなり好きにすれば良いと捨て台詞を吐く祐未
そのうえ去り際に引き止める憲太郎に暴行を加え強引に立ち去る祐未
圭輔の親は両方とも常軌を逸脱していて面白い
喜多川夫妻はこの映画の最高の笑いどころ
人によっては怒り心頭に発するかもしれないが僕はこういう人たちが面白いと感じてしまう
非常識だから面白いのである
杉村太蔵の代名詞でもある魅力あるクズ
身近には絶対いてほしくないけど安全な場所からなら見守りたい愛すべき猛獣
ヤフコメ民とかが理想とする人間像なんて面白いわけがない
なんやかんやでカメラマン鍵山が教えてくれたパキスタン・フンザの地に憲太郎は圭輔を連れて富樫と篠原と一緒に旅に出る
人の目の奥の星が見えるというおじいさんを訪ねて
カメラメーカーの営業部次長・遠間憲太郎に佐藤浩市
憲太郎の親友で関西弁の富樫重蔵に西村雅彦
焼き物販売店店主・篠原貴志子に吉瀬美智子
圭輔の母・喜多川祐未に小池栄子
かつて憲太郎が高評価したカメラマン鍵山にAKIRA
憲太郎の娘・遠間弥生に黒木華
バイト先の主任・喜多川秋春に中村靖日
離婚した憲太郎の元妻・道代に若村麻由美
富樫の母に草村礼子
椅子職人で富樫の父に井川比佐志
憲太郎の勤め先の元部下で富樫の店で働く堂本哲心に眞島秀和
託児所の保母に吉田羊
遠路はるばる訪ねてきた異邦人におじいさんは肩透かしな言動だったので観てる方はちょっとがっかり
それでも思ったことはどんな時でもわからないことはわからないとはっきり言える大人になりたいなと
なんとかしてあげようと無理をするとかえって迷惑だし常に自然体が一番だ
この映画を観たら心が綺麗さっぱりになった気がした
床屋で散髪してもらったあとのような爽快感
桃源郷に相応しいハッピーエンド
理想郷崩壊後に見えてくるのが桃源郷らしい
そんな映画
プーチンにも見えると良いな桃源郷
すっぴんで隈をつくり打ちひしがれている小池栄子と憲太郎の自宅で自分勝手な妄言を言い放った後にぶちキレる小池栄子が良かった
あとアドリブなのか憲太郎の肩を派手に叩く西村雅彦が良かった
あと芸名まさ彦じゃなくて雅彦に戻した方が良いよ
カッコ悪いよ
きよ彦じゃあるまいし
【迷える大人達が"何か"を求めて異国へ旅立つ物語。最後の桃源郷とも言われる、パキスタン・フンザの山岳風景に癒される作品。】
前半の日本パートは育児放棄問題も描かれ、トーンは重い。但し、育児放棄した喜多川祐未を演じた小池栄子さんは、出番は少ないが"こんなに凄い女優さんだったんだ!"と当時、非情に驚いた記憶がある。(すいません・・・)。
又、50歳になって色々大変何だろうけれど、いきなり取引先の営業次長に(遠間憲太郎:佐藤浩市)"親友になってくれ!"なんて言うかなあ、富樫社長(西村雅彦)とか、"そんなに簡単に4歳児を引き取ろうなんて思うかなあ、遠間さん"とか、心の中で軽く突っ込みながら、鑑賞。
が、後半は映画のトーンは一気に変わり、色々問題を抱えた人々が漸く辿りついた"世界最後の桃源郷"と言われるフンザの風景が彼らの"全ての悩み、迷い"を吹き飛ばす・・・。
〈悩んだ時は、矢張"旅"かなあ・・・と思った滋味溢れる作品。後味も良い。〉
〈2013年2月24日 劇場にて鑑賞〉
俳優さんの魅力がつまった映画
もう少し注目されても良かったかな
なかなか良かったので、久々のDVD観賞レビューします。
親の愛に恵まれない子供の苦悩と成長いう点では、本作と同じ成島監督の作品『八日目の蝉』に似ているのかもしれない。
『八日目の蝉』では誘拐された子が、犯人の愛に触れてしまったがために起こる苦悩…。
幸せって何なのか?考えさせられる作品でした。
本作では育児放棄された子が他人の愛に触れ、人間不信で閉ざしていた心の扉を少し開いて小さくも大きな一歩を踏み出す。
という話だが、『八日目の蝉』でも絶賛した小池栄子さんが本作でも抜群の存在感で大事な役回りをこなしている。
彼女の突き抜けた演技と中村靖日さんのチョッとズレてる感じがこの作品を面白くしている。
ここに説得力(真剣になんだコイツと思ったからね)が無いとこの映画は面白くなかったはずだ。
この二人の貢献度は大きい。
まぁ現実には、成り行きで子供を引き取るなんてことは、簡単には出来ないし、それはとても勇気と責任と覚悟を必要とすることだと思う。子供には罪が無いわけだし、主役の佐藤浩市さんのようになれたらとも思うが、実際には幸せになって欲しいと願うことしか出来ない自分が情けない。
しかし何より大切なのは本作に出てくるような無責任な親には絶対ならないということだ。これなら自分にも出来る。
後半のパキスタンの場面は良かったが、もう少し短く絞ったらもっと良くなったようにも思う。そこが少し残念だったが、全体的には良かったと思います。
人生悩みは尽きない
椅子の立場。
先日の横道世之介のレビューにも書いたことだけど、
ここ最近の邦画(洋画は以前から)の上映時間が長すぎやしないか。
今作で139分。
いい話だとは思う。疲れた身体にもってこい?あ~なるほど…
でもさして疲れていない私ですら、途中で眠くなってしまったな。
原作を読んでいないので、どのくらい充実した話かは分からない。
しかし物語として考えた場合、これほどあり得ない設定も珍しい。
主人公は妻と離婚しているがその原因は自分の浮気だったという。
さらに妻もそれに対抗して後半は浮気していたという。
ひきかえ父親と暮らす娘は他人の息子を預かり、面倒を見ている。
どう考えても人格的に破綻しているバイト先の上司の息子を、だ。
その妻はといえば、他に男を作って出ていったという。
娘は大学のゼミで忙しいから、主人公にその子を面倒見てという。
ムリだ、そんなの。といいながら主人公は面倒を見始める。
タクシーの中から魅力的な女性を見かけ、追いかけたうえ、
ついその店で骨董品を買ってしまうという実に惚れっぽい主人公。
取引先の関西人カメラ屋社長は、自分の愛人問題を収拾してくれた
主人公を甚く気に入り、親友になってくれ!と言う。
後半、その息子を引き取るかと思われた母親も人格破綻していた。
以下、子供を中心に生活が描かれ、終盤4人はフンザへと旅立つ。
物語に起承転結を求めるというのではないが、
キャストの演技(特に佐藤浩市)が面白い以外には問題が問題化然
としているだけで、誰もがのんびりと子供に振り回されているお話。
あそこまでお人好しの主人公とその娘には最初呆れ返ってしまうが、
もしあんな子供を目前に差し出されたら、確かにほうっておけなくて
つい面倒を見てしまうかもしれない。とはいえ、全ての人間が毎日
隠居生活をしている訳ではない。働き盛りの男世代を扱うにしては、
エ?と思う箇所があまりにも多すぎる。
心に傷を負った男女、という話にするのなら、
子供の両親になんであんな(蛇足の)キャラを求めたのか分からない。
あの二人(中村と小池)が上手すぎるがゆえに、単調な展開が一気に
突き抜けてしまい、その後の収拾もつかないまま走り去っていくのだ。
西村の関西弁と合わせ、居心地の悪いとはこういうことを指すんじゃ?
後半、子供を養子にしようと考える主人公に対し、無責任だと言って
責める彼女(吉瀬)が、実は子供の出来ない身体だったという真実が
リアルに響いたと思ったのに、その後お母さんになる!と言いだした
ことには驚いた。いや、そうなって欲しいとは思っていたけど、まさか
あんな台詞まで(佐藤浩市が腰を抜かした言葉)言い出すからビックリ。
フンザの景色どころではなかったぞ。それが「正しい道」ってことか?
結局ダメ出しばかりの感想になってしまって申し訳ないけれど、
大人の童話。と考えるなら成立する話かも。景色とて実に雄大である。
子供と戯れる主人公の表情がとても微笑ましく、俳優魂を感じる一コマ。
(子供の両親のインパクトに、完全に椅子の立場は持ってかれましたが)
やっぱり人との触れ合いってイイね
大学生の娘と暮らすバツイチ男の遠間に、50になって人生の転機が訪れる。
取引先の社長で同い年の富樫と親友になる。
焼き物店を営む貴志子と知り合い、打ち解ける。
ひょんな事から、母親に虐待され心を閉ざした4歳の男の子、圭輔を預かる。
それぞれ心に傷と悩みを持つ4人が出会い、最後の桃源郷と呼ばれるパキスタンの山岳地帯フンザへ向かう…。
宮本輝の小説を、「八日目の蝉」の成島出監督が映画化。人生の岐路に立った4人の姿を丁寧に描き出す。
物語のハイライトとなるパキスタンの山岳地帯フンザの風景は、最後の桃源郷の名に恥じない美しさ。広大な砂漠は共に走り出したくなるほど。名カメラマン、長沼六男の手腕が冴える。
佐藤浩市、西村雅彦、吉瀬美智子が好演。とりわけ、圭輔を演じた貞光奏風くんと圭輔のキ○ガイ母・小池栄子の怪演が印象を残す。
何でも話せ、愚痴や悩みも相談出来る、恥ずかしいくらい嬉しい親友。
値段も分からない高級焼き物を衝動買いしてしまうほど心ときめき気になる女性。
最初はどう接していいかも分からなかったが、徐々に愛情湧き、かけがえのない存在となる擬似息子。
いずれの出会いにも心地良い安らぎを感じ、50になっても人生まだまだ。
その一方、一人一人、大きな悩みや悲しい過去を抱えていた。
特に、圭輔の心の傷は深い。虐待のせいでまともに話す事も出来ない。
藤間は養子しようと考え始めるが、そこには現実問題が立ち塞がる…。
それぞれの答えを求める為に訪れた桃源郷。
大自然が心の悩みや傷を受け止め、新たな人生を踏み出す勇気を一押ししてくれる。
出会いがあって辿り着いた答え。
人と人の絆が染み入る人間ドラマの好編。
枠の中の情報は想像にしかすぎない
後右舷の椅子
フンザの星空がすごくて、ちょっと感動しました。
それに、50のおっさんがよく飲んでなくのですね。
確かにつらい年齢だからしかたがないのかもしれないけれど、
それにしてもよく飲んでよく泣く。
佐藤さんも西村さんもよく泣いて、そしてよく笑います。
見終わった後で、ちょっと居酒屋でいっぱいやりたい
そんな映画でした。
肩の力抜いて、夫婦や友達でみにいくとそのあとのお酒がおいしくなるって
そんな感じです。
人間味溢れる清々しい作品
気が早いが今年の邦画ベスト3に入りそうな予感のする映画
この映画を観ていると、急に孔子のあの名言を思い出した。「15にして学に志し、30にして立ち、40にして惑わず、50にして天命を知る」と言うあれだ。
2013年に暮す現代の私達の人生は今や、80年。
複雑な世界情勢の影響を受けながら日々挌闘しながら働く多くのビジネスマン。
そして、この映画の主人公・遠間の年齢となれば、新入社員の頃とは全く違う悩みを抱えて日々努力・努力の連続で、決して楽は出来ずに、体力に陰りも見えても、まだまだひたすら働くお父さん世代の会社員だ。その彼らの悲哀が実にコミカルに描かれて観ていて微笑ましい。
管理職や経営者になれば自分の身の心配ばかりでは済まない苦労を背負う男たちは、50過ぎても、日々迷い、天命を知りたくも、中々自己の天命を知り、天命に沿った生き方の選択が難しい事を知るのも、この佐藤浩市演じる遠間の世代であると思う。
きっと原作者の宮本輝はそんなビジネス戦士の日々の姿を、今風に言うなら、仕事のストレスからウツを患い退社経験を持つ彼は描き出したかったのだろうか?
私はこの原作を未読である為に、この映画と原作との描き方の相違については何も言えないが、思うに、昨年高倉健が主演した「あなたへ」の様なオーソドックスな撮り方ではあるけれども、家族や、友人との人情を描いたタイプの邦画好きの人には安心2重マルの絶対お薦めの作品だと思う。
ストーリーとしては、バツイチ男の遠間の家庭に新たな難題が起きる。一人娘が、知り合いの子供を預かるハメになり、預かった4歳の子供に大の大人が翻弄されながらも、人生の転機を受け入れ、新たな人生を踏み出して行くと言うストーリーを、佐藤浩市と西村雅彦が時にコミカルに、そして確かな芝居で中年男の悲哀を見事に演じている。
この映画の成島出監督の作品では、私は「孤高のメス」が好きな作品であるけれど、彼も近年では数々の名画を監督しているが、この映画を私が更に良かったと気に入った理由の1つには撮影監督を長沼六男が担当している事がある。
彼は山田洋次監督と寅さんシリーズ後半から長くコンビを組んで来た人なので、彼のカメラは最もこう言う作風の作品には、ピッタリのカメラワークで観客を惹き付けるのが巧いと思う。フィックスで、ドンと構えた画作りが観ていて安定感があって素晴らしいし、フンザの壮大な自然の砂漠や、山々の画も綺麗で良かった。
そして脇を固める俳優も井川比佐志が西村雅彦の年老いた父親を好演していた。そう言えば、西村は「東京家族」でも長男を演じていたが、よりこちらの作品の方がハマリ役だった様に思う。そして私の好きな小池栄子が4歳の圭輔を虐待し、その後捨ててしまう壊れた鬼の母親を怪演しているが、そのキレタ演技も観ものの1つであった。
人は幾つになっても未知の人生を日々歩んで生きているのだから、時に迷いながらも、前に向かって生きて行かなければならない。自分探しの旅は生涯最後の日迄続いているのかも知れない。天命を知らずとも、生きている素晴らしさを思い起こす秀作であった。
残念、のひとこと
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