「マトリックスの監督だけある」クラウド アトラス parsifal3745さんの映画レビュー(感想・評価)
マトリックスの監督だけある
視聴は2度目。「マトリックス」を監督したラナ&アンディ・ウォシャウスキーだけあると思った。東洋哲学にも造詣が深い彼らだけあって、「輪廻転生」しながら魂が成長していくというテーマと、そういった価値観ではなく、際限がない欲望のまま、この世界を支配しようとする人種たちとの戦いを描いた作品だと思った。
この映画では、6つの物語を通して、登場人物が善や悪の因果を後世に引き継ぎながら、人種差別、同性愛、軍産複合体、高齢者問題、世界支配層とクローン人間、地球環境破壊と再生に、善と愛とで立ち向かう人々を描いている。
ラナ&アンディ・ウォシャウスキーは、マトリックスと同様、輪廻転生を繰り返しながら魂が成長していくという思想を、世界は葬ってきたという立場に立っている。基本的には、愛が高まることによって、人と人との間の波動が高まって、人間性のレベルが上がって、それが世界に広がっていくと言いたいのだ。輪廻転生について著述した「前世療法」などの本を読めば、「輪廻転生」がある可能性が結構高いと感じる。しかし、それが真実だとすると困る。人間は、皆、欲望に貪欲で、それらを操って世界を支配したいという人たちがいるからだ。それが、支配の構造であり、今般、陰謀論と呼ばれるものだ。
陰謀論というと、胡散臭いが、資本主義の本質や戦争がなくならない理由を考えれば、誰でも理解ができる。自分だけが儲けるにはどうしたらよいのか。一番手っ取り早いのは、人々が物を必要とする状況を作り上げることだ。アルコールやら薬物、スマホやゲーム、流行やらで依存や中毒状況を作ってしまえば、誰もがそれなしではいられなくなる。敵を誇張して悪魔のように喧伝し、人々を恐怖に陥れれば、軍備増強に税を差し出し、戦争も辞さないようになるだろう。死ぬ可能性が高い感染症の恐怖を刷り込めば、マスクをし得体のしれないワクチンを打ち、十分な治験が済んでいない薬を服用するだろう。強欲な支配者たちの常套手段である。
それらの人たちは、マスコミも買収して、人々が欲望を我慢できないように洗脳し、人々を争わせ、世界から思うが儘に搾取をして、普通の人々を獣のように扱っている。この映画では、過去から未来に至るまで、権力を蹂躙される人たちは、強欲な人たちによって命を奪われている。
マトリックスでも、そうだったけれど、世界の真実に目覚めるには、それ相応の知識と見識、嘘を見破る力が必要だ。真実のために戦う人は、譬え最初は一人で、大河の一滴でも、時が経てば目覚める人が増えて、大きな流れとなる。クラウドアトラスは、6つの物語と輪廻転生というテーマに隠された見えづらいが、真実の生き方は、愛の波動を高めることで人間が進化していくことをメインテーマとして描いていると思った。他に類比できる作品がないこと、テーマの壮大さから評価は5.0