「華はないけど意味はある。」相棒シリーズ X DAY ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
華はないけど意味はある。
ドラマでも毎回凝った脚本で様々な問題を取り上げている本作。
あまりに残酷で容赦ない現実を突きつけてくる回があると思えば、
異様にコミカルで妄想劇のようにスッと終わっていく回もある。
単なる刑事物の枠を超えた見せ方は、視聴者を実験台にしている
ようで、面白さの中に反応を期待されている心地悪さを感じつつ、
どうにもこのシリーズから目が離せなくなったファンの一人である。
映画版の方も毎回観ているんだけど、
米沢の時と同じく今回はスピンオフ、伊丹刑事が主人公っていう
華のなさにも程がある(ゴメンね^^;)配役ながら、さすがに12年もの
月日を勤め上げたベテラン刑事、今作で初お目見えした岩月との
丁々発止のやりとりは、なかなか面白い。
サイバー犯罪対策課の専門捜査官である岩月(田中)の性格描写も
よく描けており、伊丹と真っ向から対立する真逆の捜査方向にも
(ある意味歳の差も関係してる)昔と今じゃ考え方そのものが違う。
ハッキリ言って伊丹世代の私も(あそこまで疎くはないけれども)
難しいことは考えない性質だ。そこがいけないのも承知している^^;
実際に日本が債権不履行に陥ったら、どうなるんだろう。
考えなきゃいけないことなのは分かっていても、考えたことがない。
そもそも(あり得そうなことだとは思っているのに)
銀行のシステム停止でお金が下ろせなくなる不安も、考えていない。
政府筋のマネをしたくはないが「まったく想定外」なのがこういった
自分だけはそうならない。とか、自分の周囲はまだ大丈夫。という
慢心から急激な事態の悪化に耐えられない国民意識を作っていると
確かに、まったく、その通りだと思う。日本国民ってどこまでも平和。
地震災害や原発不安などを身近に体験して初めて、そういう意識が
強く取り沙汰されるようになってきた。そしたら今度は極端なくらい
「不安、不満」とプラカードに書いては頑なに意識改革を迫ってくる。
不安材料を幾つ並べたところで、今すぐ解決できる状況にはない。
かといって何事もなかったかのように、今まで通りでいいのか?と
問われれば、いや、まったくそんなことはないのも分かる。
今作のラストが微妙にスッキリしないまま終わってしまうのは、
それが言いたかったのだと思う。考えてどうなるものではなくても
考えていかなければ、いずれとんでもないことになるぞ!の脅威。
確かにXDAYは、すでに想定内に入れておかねばならないのかも…。
初コンビの活躍は、今作後の展開が見られるTVシリーズの中にも
チラリと登場していたが、いつもの三人組とは違って新たな伊丹像
が見られるようになるのかもしれない。華はないけどちょっと期待^^;
まぁギター演奏の方は、米沢さんに任せていいからさ。
右京さんはチラリの登場ながら、核心をついた発言。
尊くんもチラリ登場、それ以外にも各々の部署の仕事が垣間見れて
なかなか面白い作りだった。ただ、(多くの方が言っているように)
本当にあの最後の場面だけが^^;延々と流されたのだけいただけない。
いきなり妄想・仮想の世界に入ってしまったかのような、お札の吹雪。
まぁちょっと洋画の雰囲気(よく似た展開を見せる映画があって)で
遊んじゃったのかしら。ホント何が起こるか、想定外ですよねぇ。
(角田警視も、よっヒマか?なんて、言ってられなくなる可能性アリ^^;)