劇場公開日 1999年7月3日

「300本近いピンク映画作品を世に送り出した鬼才・浜野佐知監督の一般...」第七官界彷徨 尾崎翠を探して おけんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0300本近いピンク映画作品を世に送り出した鬼才・浜野佐知監督の一般...

2025年2月21日
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鑑賞方法:映画館

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300本近いピンク映画作品を世に送り出した鬼才・浜野佐知監督の一般映画デビュー作品。
 1999年当時には、埋もれた、半ば忘れられた作家であった尾崎翠に焦点を当て、その後半生を現代(1999年)から遡って描くノンフィクション的なパートと、彼女の代表作のひとつである『第七官界彷徨』の世界を物語るパートを交互に繰り返す形式で、尾崎という作家の総体と可能性について寄り添っていると感じた。
 こうした構造も、そして作品で描かれる内容自体も、女性同士のパートナーシップと男社会への挑戦を明示するものである。つまり女性監督である浜野による日本の女性に対するエンパワメントであり、その意味でも記念碑的な作品であると考える。
 最後に、常に浜野作品を脚本面から構築する「男のレズビアン」、山崎邦紀の力も特記しておく。

おけん