「怪獣映画が触れてこなかった部分に食い込む」ガメラ3 邪神(イリス)覚醒 うにたん♪(コロナが当たり前の世界)さんの映画レビュー(感想・評価)
怪獣映画が触れてこなかった部分に食い込む
人類の味方の様に扱われているガメラ、そしてガメラとその他の怪獣による破壊による犠牲になった家族の苦悩とガメラが怪獣を倒した結果だけ受け止めている第三者との違い。
あれだけの重量のモノが暴れれば街はこうなる…と言う具体例を冒頭からはっきり見せる。
ガメラからすれば善も悪もない。
人間が虫を蹴散らすのと変わりない。
渋谷に彷徨いてる人間たちが初っぱな15000人程犠牲になっている。
ギャオスの墜落、ガメラの着陸、ギャオスへの止めの火炎弾攻撃…短時間で避難できる筈もない。
大抵の怪獣映画は僅かな人(主役たち)を残して避難が出来てしまうので、この取り上げかたは無かった。
この世界は当たり前に怪獣の存在を認知しており、実際に退治することも出来ておらず、ギャオスを倒すこともレギオンに対抗することも出来ていない為、地震や津波、台風等の自然災害以上の怪獣を始末してくれるガメラを自然災害と同様に仕方のないものとして受け入れつつ(作中では巨大生物災害としている)、その突然起こる災害に恐怖を感じている社会情勢になっている。
超自然的な力にも理解が及んでいて、勾玉でガメラと交信する等という事が理解されている。
世界にはマナと言うものがあり…と、このガメラワールドでのオカルティックな事象を理解させようと作中に繰り返される説明的な芝居がちょっとくどい気がする。
この作品は怪獣映画だが視点を変えて作ったが故に、元来ライトユーザーに支えられていた筈の怪獣映画の圧倒的支持を得られなかったのだと思う。
毎年製作出来るものじゃないし、間も空く。
映画をライフワークとして観ている人間よりも、そのタイミングで観たい作品を選んでいる人が多いから、ライトユーザーの望む怪獣映画と今作のガメラは合致しなかったと思う。
ただ何作品もあったからこそ、その中で毛色の違う作品を作れたのだが、評価したのは濃いファンのみだったと思う。
平成ガメラシリーズ時代にはエヴァンゲリオンの人気からこういった作品への理解や考証が進み、ファンの層や感覚も変わっていった。
今観たら、もっと理解を得られる作品だと思う。
個人的に自分に酔っているような演技の前田愛は好きになれなかった。
逆に「ガメラ大怪獣空中決戦」の時の藤谷文子を何かイヤだと嫌っていたのに、今作で観るとこなれてきて、良い感じに思ったりした。
良くも悪くも物事や人は変わっていくものなのだなぁ。
女性キャンパー役で仲間由紀恵がイリスに襲われてたのに驚いた。当時は仲間由紀恵を全く知らなかったから記憶に残って無かった。