「特撮映画の新地平を開闢した三部作の掉尾」ガメラ3 邪神(イリス)覚醒 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
特撮映画の新地平を開闢した三部作の掉尾
塚口サンサン劇場で開催された「平成ガメラ三部作 重低音ウーハー上映」で初スクリーン鑑賞(通算15回目くらい⋯否、もっとか?)。
三部作の完結編でありながら本作が異彩を放つ訳は、これまでのシミュレーション的な作風から変化し、伝奇的な要素を前面に押し出しているからだろう。怪獣たちを伝承や神話になぞらえて考察している。ガメラ、ギャオス、イリスの相関関係を、高松塚古墳の壁画の神獣に例える発想が上手い。何故怪獣は日本に現れるのかと云う疑問にも、日本でつくっているからと云うメタな部分に甘えず果敢に挑んでいく。ガメラとギャオスを「最後の希望」と「災いの影」と云う二元論で片づけて良いのか。哲学的な議論が展開され、奥深さにしびれた。
本作では今までの怪獣映画では描かれて来なかった、怪獣による災害とそれに伴う死者の描写に挑戦している。それはタブーと言って良いものであり、これまで避けられていた事柄であった。
プラズマ火球の直撃で人々が爆炎に巻き上げられるシーンは子供心にショッキングだった。怪獣が暴れると大勢の人が死ぬ。見向きもして来なかったことに気づかされ、かなりの衝撃を受けた。
前作が期待したほどの興収を上げられなかったことですぐに次作製作にGOが掛からず3年越しの公開となったが、その空白の間にVFXが格段の進歩を遂げていて、迫力もクォリティもスケールアップした特撮に仕上がっている。怪我の功名だろう。
抜群にカッコ良くなったガメラの着陸や、満月をバックに飛翔するイリス、ガメラとイリスの空中戦など、CGを多用したシーンがたくさんあるが、今観ても全く見劣りしないことに驚かされる。
怪獣映画初の屋内戦が描かれたことも本作の特筆すべき点である。最終決戦の舞台に京都を選んだセンスも抜群だった。京都駅のミニチュアの精緻さにも心震えた。本物にしか見えないからだ。
イリスとの戦いの後の満身創痍のままで、日本に接近するギャオスハイパーの大群に挑んでいくガメラ。その姿に、地球の守護神とは云え、悲壮な宿命を帯びた怪獣だなと、同情を禁じ得ない。
[余談]
落語家の林家しん平が自主製作した「駕瞑羅4~真実~」が観てみたい。商業目的で上映しないことを条件につくられているので、イベント等でしか観ることが出来ないが、ビデオテープの劣化で視聴機会が激減していると云う。角川大映になんとかしてもらいたいなと思う次第である。
[鑑賞記録]
2016/10/22:塚口サンサン劇場(重低音ウーハー)
2019/05/04:DVD(デジタル・リマスター版)
2019/10/06:Blu-ray(4Kデジタル復元版)
2020/02/15:Blu-ray(4Kデジタル復元版)
2020/10/13:Amazon Prime Video
2020/12/06:Amazon Prime Video
2021/01/17:Blu-ray(4Kデジタル復元版)
2021/03/27:4K UHD Blu-ray
2021/05/27:4K UHD Blu-ray
2025/12/07:BS12(4Kデジタル修復版)
*修正(2025/12/07)
コメントありがとうございます。
まさか地元の映画館でこのような素晴らしい上映会を開催してくれるなんて、まさに夢のようでした。
観終わった後には拍手が巻き起こり、ファンの一体感みたいなものを感じてなんだか嬉しくなりました。
> 「平成ガメラ三部作 重低音ウーハー一挙上映会」
うわ。それってちょっと羨まし過ぎ。一挙上映って、じゃあ、中山さん(忍)が(可愛いけど)下手で、第三作冒頭でちょっと上手くなるんだけれど、再び下手の谷へ限りなく落ち込んでいくのを、まるでジェットコースターに乗っているかのように楽しめるってことですか? って、平成ガメラシリーズのポイントはそこじゃないか…
しかし3作同日は迫力あるでしょうね。酔いそう。3作それぞれでの特撮の進化もリアルに体感できるのか… やっぱり羨ましい以外の何でもないな。いいですね。
> 特撮怪獣映画の歴史は、この三部作以前と以後で分かれるのではないかなぁ
そうですよね。
地蔵菩薩🙏さんへ。
コメントありがとうございます。
仰る通り、現在の日本の特撮界を総動員したら、「ゴジラ対ガメラ」を高クォリティーで製作することなんか容易なことのように感じます。「平成ガメラ三部作」なんて、そもそも配給は東宝がしていたのですから、そこのよしみで何とかならないもんかなぁ…(笑)
幼い頃、映画を観たのはもっぱら塚口サンサン劇場でした。
初めて映画館で映画を観たのも、ゴジラの「ミレニアムシリーズ」を観たのも、全部そこでした。私にとっても想い出深く…と言いながら、「平成ガメラ三部作 重低音ウーハー上映」まで疎遠でした(笑)
レアな映画のリバイバルや、それこそ特撮映画の上映もやっていたりしていたのに、しかもそんな貴重な映画館が地元にあったのにそれまで通っていなかったことを悔いると共に恥じました…。
本作は名作ですが…好きな街「京都」が火の海だけは、身体を引き裂かれそうでした。それ以外は100点です🙇
「ゴジラフェス2019」トークショーいやいや凄いメンツ!…大森一樹監督、昔々大学の映研時代に、神戸で高橋伴明監督とディレクターズカンパニーのトークイベント…質疑応答で話した記憶確かにあるんですが、何話したかさっぱり覚えてません(笑)、意外とコワモテな高橋監督のが優しかっただけ覚えてます😅
大昔なら、有り得ない事が起きる時代に来てて、会社の垣根なんて越えて、「善ガメラ悪ゴジラに負け」でも全然観たいですね私は。
先述の才能陣が結集したら
【「ゴジラVSガメラ」ハリウッド特撮に勝利!「コングVSゴジラ」を抜いた!】みたいなNEWS夢想出来ます(笑)
あと「塚口サンサン劇場」大好きな劇場😌絶対無くなってほしくないです🙏
ラストシーンはあれで良かったと思いますね。
ボロボロになっても戦い続ける、本当にガメラのカッコよさを感じました。
自分もガメラ生誕50年の2015年に新作が公開されるだろうと期待してました。
その基になるであろう動画も公開されたので、ワクワクしてたんですが…。
まだちょっとお預けですかね(^^;
ひょっとしたら、ハリウッドの『ゴジラvsコング』が終了してからだったりして…?
『ゴジラvsコング』に対抗して、日本ではいよいよ『ゴジラvsガメラ』とか…!
夢が尽きません。
『ゴジラvsガメラ』は本当に夢なので、実現して欲しいような、欲しくないような…。
テーマや描写など、これほど迫真に満ちた国産特撮怪獣映画はなかなかありませんよね。
渋谷でのガメラvsギャオスは特撮&CG&実写が素晴らしく、屈指の名シーンだと思ってます。
あまりに真に迫る内容故、子供の怪獣離れの原因にもなったと言われてるそうですが、自分としては最高の怪獣映画の一つです!
ガメラがギャオス群を迎え撃つ所で終わるラストシーン。
本当はガメラとギャオス群の最終バトルが描かれる予定だったものの、予算や時間の都合でカット。その模様が『小さき勇者たち ガメラ』のOPに活かされてるそうです。



