モンソーのパン屋の女の子のレビュー・感想・評価
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3歩あるけば棒に当たる
エリック・ロメール「6つの教訓話」の一話目。
そうか、この流れはトリュフォーにつながるんだ、と妙に納得してしまった。
好きになってしまった女性との「めぐり合い」を期待して街を彷徨く男が、たまたま見つけたパン屋に立ち寄りサブレを買う事がルーチン化。目当ての女性への面当て(この言い方が、自己中心的な男への侮蔑であり皮肉)で、パン屋の18歳の売り子をデートに誘う。偶然にもパン屋と路地を挟んだアパートに、目当ての女性は住んでおり、結果的に男は思いを果たしパン屋の娘とのデートの約束は反故となる。
思い切り淡々としてます。タメも演出も何も無し。リアリティを追求するでも無く、メッセージ性も無く、平坦なストーリーと平坦な演技。
男のナレーションと、娘と女のセリフが、時代を移す鏡。男の身勝手さ、今言うところの「上級国民的意識」なんてのをプラットフォームに、反ドラマティックな一編の小咄。
ここに教訓があるとするならば。
「男は自惚れる生き物だ」
みたいな?
う〜ん。ヌーヴェル・ヴァーグだ。
まだまだホント低予算ゆえ、殆ど役者も使えず、全員アマチュア役者というか、専業俳優でないようで、主人公役がプロデューサーだったりするが(シルヴィー役は後々も女優として活動)、全くもってインディ感というかDIY感に溢れていて、本当にヌーヴェル・ヴァーグとしかいいようのない短編になっている。
もうロメールは、この頃から編集が見事で、冒頭のパリの街並みの様々な通りを紹介するシーンを俯瞰から始めるあたりは本当に上手い(まさにプロットの起点となっている)。
ストーリーとしては、ほったらかしにされたパン屋の女の子が気になるし、主人公はダメ男として、どうせ描いてるようなので、出来れば、結婚したはいいが、直ぐに三下り半をされてしまい、久々に入店したパン屋では、かつての女の子は成熟したイイ女になっていて、どうやら亭主もいて随分とハッピーらしい……な感じで、クローズとなって「FIN」の方が良かったかな。
ちょっとラストは物足りなかった。
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