劇場公開日 1961年3月28日

「重厚感ある察しが特徴的な忠臣蔵」赤穂浪士(1961) asukari-yさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5重厚感ある察しが特徴的な忠臣蔵

2024年12月6日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

知的

 片岡千恵蔵に月形龍之介に大川橋蔵などなど・・・。

 東映オールスターキャスト夢の競演と銘打って作られただけに、出てくる役者は皆当時もしくはその当時から見て未来の大物ばかり。超豪華な顔ぶれではあるが、皆に時間を与えるためか、だれをスポットに当てたいのかわからないような映画でもある。
 忠臣蔵の主演は大石内蔵助だが、出てくるのは上映開始1時間程度たった後。それまでは話の脇道にいる大物にスポットを当てまくっている。話が飛び過ぎて吉良上野介なんか忘れたころにやってくる。のめり込むには蛇足が多い作品と思う。

 しかし、他の忠臣蔵と違って“良い意味で”抑揚の利いた映画でもある。淡々と進む中に「察し」の表現を多用している。そして、冗長的とも思える対峙シーンに、その重みが十分に含まれているように思う。その渋みがまた巧い。そして他の忠臣蔵と比べると観やすい部類に入ると思う。

 多くのキャストにスポットを当てなきゃならなかったのかと思える蛇足感が残念ながら、時代劇に必要(少なくとも自分はそう感じている)な重厚感を、日本人特有な“察し”をもって表すことで渋みの利いた観やすい良作と、自分は思います。

asukari-y