赤穂浪士(1961)のレビュー・感想・評価
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千恵蔵VS右太衛門
東映創立十周年記念作品。
Amazon Prime Video(東映オンデマンド)で鑑賞。
原作は未読。
討ち入りの日と云うことで鑑賞した。昔のオールスター映画と言えば「忠臣蔵」のイメージが強い。東映では本作以前の5年間に2本も忠臣蔵のオールスター映画を製作している。
刃傷松の廊下から赤穂浪士の討ち入りまで、2時間半の尺に収めているため駆け足の感は否めなかったが、主軸を大石内蔵助と千坂兵部に絞っていたためドラマ性は充分であった。
千恵蔵(クラゾウ)と右太衛門(ヒョウゴ)が向かい合うシーンはセリフが一切無いにも関わらず、互いの友情と使命の狭間で揺れる感情が交錯するのが分かり、名場面だと思った。
だが、大友柳太朗の演じる内蔵助の甥のサイドストーリーがテンポを阻害していたのが誠に残念であった。原作は読んでいないので分からないが、大友柳太朗を目立たせるためだけに役をつくったのではないかと感じるくらい、本筋への関わらせ方に無理があったし、彼が四十七士に合流すると予想していたがそれもなく、いったい見せられていたのかと腹が立った。甥のエピソードが無ければ、内蔵助と兵部の頭脳戦・心理戦をさらに描けたのではないかと思えるし、重ね重ね残念である。
最近の忠臣蔵の映像化は異説を取り入れたり、斬新な切り口で描いているものばかりの印象が強い。それももちろん面白いのだが、本作のような正統派な作品も新作で観てみたい。
重厚感ある察しが特徴的な忠臣蔵
片岡千恵蔵に月形龍之介に大川橋蔵などなど・・・。
東映オールスターキャスト夢の競演と銘打って作られただけに、出てくる役者は皆当時もしくはその当時から見て未来の大物ばかり。超豪華な顔ぶれではあるが、皆に時間を与えるためか、だれをスポットに当てたいのかわからないような映画でもある。
忠臣蔵の主演は大石内蔵助だが、出てくるのは上映開始1時間程度たった後。それまでは話の脇道にいる大物にスポットを当てまくっている。話が飛び過ぎて吉良上野介なんか忘れたころにやってくる。のめり込むには蛇足が多い作品と思う。
しかし、他の忠臣蔵と違って“良い意味で”抑揚の利いた映画でもある。淡々と進む中に「察し」の表現を多用している。そして、冗長的とも思える対峙シーンに、その重みが十分に含まれているように思う。その渋みがまた巧い。そして他の忠臣蔵と比べると観やすい部類に入ると思う。
多くのキャストにスポットを当てなきゃならなかったのかと思える蛇足感が残念ながら、時代劇に必要(少なくとも自分はそう感じている)な重厚感を、日本人特有な“察し”をもって表すことで渋みの利いた観やすい良作と、自分は思います。
市場経済が芽生え始めた日本の夜明けに起きたアナクロな悲劇
カギの頃見たので、何だか分からなかった。だから、親父に「何だか分からないよ」って言ったら、我が亡父は月形龍之介のファンだったので、「月形龍之介が悪者何だよ。かっこいいだろ」って理由わからないことを言っていた。多分、彼はストーリーを理解していなかったと想像する。
さて、元禄時代とは簡単に言えば、封建制度が円熟期を迎え、市場経済が芽生え始める。賄賂の存在がこの映画にも登場するが、果たして事実かは兎も角、田沼意次の存在も考慮すれば、そう言う時代なのだ。つまり、善悪を抜きに世の中はお金がものを言う時代に突入するのだ。その観点から、吉良上野介だけを悪者にするべからずなのだ。
但し、我が亡父がそれを知って、吉良上野介を良く言っていた訳では無い。
田沼意次に付いて、最近は前述の見方が一般的の様だが、僕の時代では田沼意次は悪者たった。しかし、旧国営放送で「天下◯免」と言う番組に田沼意次と平賀源内が登場して、ちっとも悪者に描かれていなかったので、調べた事がある。
今言った能書きはその時の受け売りである。
時代が経過すると悪者がそうでもない事が判明する事がある。しかし、日本史では、善人が実は物凄く悪者って、どうしてないのだろうといつも思う。
お正月に観るのに最適の映画です
きら星、今風にいうなら銀河のようなオールスター総出演
超豪華なセットに衣装
60年近い昔の作品ですが美しいカラーワイドスクリーン作品です
2時間半の大作です
それでもお話がお話ですからダイジェスト的にならざるを得ません
しかも、いきなり松の廊下ではなく、丁寧に何故そうなったのかに時間を割いていますので、余計にそうなります
とはいえ、名場面はキッチリと押さえてあるので赤穂浪士を正月に楽しんだ満足感がありました
なので初めて忠臣蔵=赤穂浪士を観ようという方にもお勧めできます
片岡千恵蔵が演じる大石内蔵助は、これぞ大石内蔵助です
あの特徴ある話し方を楽しみましょう
テレビの笑点で林家木久扇師匠がモノマネしているアレです
しかし赤穂浪士
実に物語が日本人の琴線を震わせます
お正月にお酒も入って観ると心に実に染みます
江戸時代の大昔の物語です
でも最近現代性が増して来ているように思います
会社の吸収合併、する方もされる方もさまざまな感慨が渦巻きまくものです
本社にライバル会社の幹部を迎える側、乗り込む側
明日は我が身です
そして上級国民問題
車を暴走させて何人もひき殺したなら、普通ならその場で逮捕でしょう
例え老人であっても
愛する妻と娘を奪われ、涙して厳罰を要求する男性の姿を思い出します
このままなら現代の赤穂浪士を待望する声が渦巻きかねません
本作で討ち入った赤穂浪士を迎撃しようとする上杉綱憲を、命をはって押し止める千坂兵部の台詞
兵部が恐るるは正義でございまする
この言葉は今こそ現代に通用するものです
年末と言えば赤穂浪士。もう今はそうでもないか。 数ある作品の中で私...
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