「スリルとサスペンス、ユーモアと美女にスペクタル要素、そして米国民へのメッセージ」海外特派員 Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
スリルとサスペンス、ユーモアと美女にスペクタル要素、そして米国民へのメッセージ
1940公開のヒッチコック監督のハリウッド第二作。
スリルとサスペンスにユーモアと美女と、英国時代の良い点満載のヒッチコッックらしい、大戦直前時欧州が舞台の映画。
主人公ジョエル・マクリーがオランダで殺人犯乗った車を追いかけるも、車が忽然と消えるシチュエーションは流石。犯人グループ潜む水車小屋の中への潜入し、人数多く見つかりそうなスリルの連続。コートが水車歯車に巻き込まれるて大変も何とか脱いで危機回避、コートもちゃっかり回収するユーモア。
英国新聞記者ジョージ・サンダースが黒幕の娘ヒロインのラレイン・デイに命狙われた主人公とのケンブリッジ避難を仕掛ける展開も、ユニークで面白かった。娘の誘拐と黒幕に思わせての犯罪の白状を迫る目的。無鉄砲な主人公と対照的に、英国人サンダースが知恵に満ちた良い味を出していた。
無名だったらしいライアン・デイの美貌にはびっくり。主人公とヒロインのインスタント恋愛のシナリオには相当の無理があるが、それを払拭するに十分のお嬢様的な若さに満ちた美しさであった。
ラスト、黒幕に主人公とヒロインまで乗った飛行機がドイツ艦船に誤狙撃されて墜落する展開は、予想外だった。海原に放り出されあわや全滅というスペクタル映画の要素まで入れ込んできて、観てる方は大満足。米国艦船に助けられるのだが、本社に電話をかけっぱなしで、艦長との会話及び意図察したサンダースの説明的コメントを流して、スクープ情報を伝える展開はユーモアも有り、ヒッチコックらしいアイデアで感心させられた。
最後の爆撃されてる中でのロンドンからの米国民向けの生中継での、”米国は世界に残る最後の光だ“のメッセージは、ヒッチコックの英国民としての本音ではあるが、米国民へのおべんちゃら性は少々感じた。実際、米国の開戦は、本映画公開の翌年1941年末まで待たねばいけなかったことを再認識。