大利根の夜霧

劇場公開日:

解説

製作は「鞍馬天狗 大江戸異変」の竹井諒。やはり「鞍馬天狗 大江戸異変」のシナリオを書いた友田昌二郎の原作を、佐伯清が脚色並に監督したもの。同監督の最近の作品は、「白昼の決闘」「いつの日君帰る」などがある。出演者は、「鞍馬天狗 大江戸異変」の嵐寛寿郎に、伊志井寛、山本礼三郎、柳永二郎、山村聡、花井蘭子、幾野道子、北見禮子等。

1950年製作/93分/日本
配給:新東宝
劇場公開日:1950年11月18日

ストーリー

阪東太郎の名で知られた利根川の河口近く、總州一帯に天保の頃、お互に覇を競う博徒の二大勢力があった。一を飯岡の助五郎、他を笹川の繁蔵といって事あるごとに近隣の百姓をいたぶり、米、薪炭の類を巻き上げ、婦女子を奪い、田地田畑を荒し回ったが、その取締りに当るべき役人達は、博徒に買収されてしまっていて、百姓たちには何の救いにもならなかった。その頃、いつからともなく大庄屋庄右衛門の離れに、大原幽学という浪人が住んで諄々と百姓たちに人の道と、新しい農業技術を教えていた。賭博にふけるのを唯一の娯楽のように思っていた百姓たちも、次第にこの幽学の教えにひきつけられ、賭場から足が遠のくようになった。そこで博徒たちは何とかしてこの幽学をこの土地から取り除きたいものと、役人たちに計っていた。しかしその間にも、この飯岡と笹川の顔役の犠牲者は絶えなかった。百姓彦一は家も田畑も愛する女房までも、賭博のかたに取り上げられ、自暴自棄になって、飯岡の乾分になり、やくざの群れに身を投じた。彦一の父は首を吊って死に、お八重は笹川の繁蔵に囲われて、だるま茶屋に過度の心痛から病体を構える身となった。繁蔵の妾お粂は、江戸から流れて来た女だが繁蔵の用心棒をしている浪人平手造酒に心を寄せている。造酒は繁蔵に頼まれ幽学を闇討しようとするが、返って幽学に諌められ、それ以来、いっそう酒びたりになり憂々としている。博徒たちに含められた役人は、幽学がもしや大塩の乱の一味ではないかと、密偵を放って取り調べているが、その証拠が掴めない。庄右衛門の妻お菊の虚栄心を利用して、幽学に不利な証言をさせようとするがそれも成功しない。その間に、段々威勢の悪くなった助五郎方が、羽ぶりのよい繁蔵をねたんで切り込んで来る。その騒ぎに、平手造酒は、お粂の止めるのも聞かず、その渦中に暴れ込んで自殺的な死をとげ、お八重も、お粂に看取られながら死んでしまう。繁蔵に売られたおりえだけは恋人の猪之助と逃げて、幽学の手で結婚式を挙げさせてもらう。しかし、二組の博徒たちが切り合いに弱り果てたとき、百姓たちは日頃のうっぷんを晴らすために立った。そして彼等を食いものにする蛆虫のような博徒たちを追い払った。けれど幽学は、この百姓たちを扇動した者として、江戸送りとなることに決められてしまった。幽学は、例え自分の身がどうなっても、自分が百姓たちの間に残した仕事は生きるであろうと言って、引き立てられて行くのであった。

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