東京カチンカ娘
劇場公開日:1950年1月15日
解説
「グッドバイ(1949)」「銀座カンカン娘」の青柳信雄のプロデュース、脚本は「銀座カンカン娘」につぐ中田晴康の執筆、監督はかつて伊丹万作に師事し最近では斎藤寅次郎に師事していた毛利正樹昇進第一回作品でキャメラは「湯の町悲歌」の横山実が担当する。照明は「野良犬(1949)」「小原庄助さん」の石井長四郎。出演は「真昼の円舞曲」「花の素顔」の若原雅夫、「花の素顔」の折原啓子の主演に、「おどろき一家」の古川緑波、清川虹子のほか、川田晴久、暁テル子、市川春代、ディック・ミネらが共演している。
1950年製作/76分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1950年1月15日
ストーリー
銀座の人気者、サンドウィッチマンのバロンは山高帽子にモーニング白足袋、二重マントのふん装で、今日も雑沓の中を歩いていた。娘のユリはラサール衣裳店のモデルで、とくに美しい容姿は銀座マンの目をひいた。与太者の、なめ銀は奈良三郎と名のって、紳士を装ってユリに接近し、わがものにしようとねらっていた。手始に手下を使ってユリの帰りを襲わせ、奈良がそれを救うなど芝居をうって、すっかりユリの信頼をうることが出来た。名古屋でファッション・コンクールが催されることになって、デザイナー河合の新型をユリが出張して発表することになった。その一行についてスイングのグループ、銀座カンカングループが行くことになっていた。そのグループの責任者は、意外にもパパの知合いの作曲家里見だった。いよいよ出発の日、里見につきまとう未亡人鎌倉夫人こと美子も、ユリのパパのバロンもそして野心満々の奈良もふくむ一行が名古屋ホテルに同宿した。ユリは里見にひそかに思いをよせていいたが、里見につきまとう美子を誤解して、心が晴れなかった。美子は未亡人で、パパのバロンも父娘のさびしい家庭だったので里見との誤解もとけたとき、ユリは父が美子と結婚することを望んだ。若い二人がむつまじく打合せているのを、背中合せのソファーで聞いたパパと美子は、そっと手をとって席を離れた。機をねらっていた与太者の奈良は静かに語る若い二人に割って入り、里見を侮辱したため、ホテルのサロンは乱闘場になってしまった。奈良がユリをだまして連れ去ろうとしたとき、カンカン・グループの楽員晴さんが奈良の正体をすっぱぬいた。最後の手段で奈良はピストルを発射しようとした瞬間、階段の上からバロンが花びんを投げつけたため事件はことなく解決し、前科三犯のお尋ね者奈良は警察にひかれていった。その夜バロンと美子、ユリと里見、グループの幾組かが“夢の彼女”のリズムにのって踊る楽しい姿がみられた。