鐘の鳴る丘 修吉の巻
劇場公開日:1949年2月1日
解説
「愛情十字路」「シミキンの探偵王」の山口松三郎の企画で、菊田一夫原作のラジオ連続放送劇を「風の中の牝鶏」「銀座新地図」の斎藤良輔が脚色「シミキンの探偵王」についで佐々木啓祐の監督である。カメラは「火の薔薇」の森田俊保の担当「火の薔薇」の佐田啓二「青蛾」の徳大寺伸「肖像」の菅井一郎をはじめ、井上正夫、飯田蝶子等が出演する外創作座の子供達が大勢出演する。
1949年製作/83分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1949年2月1日
ストーリー
東京には到る処に浮浪児がいた昭和二十一年の夏も終わるころ、復員姿の青年賀々見修平は、弟修吉を尋ねて新橋駅にたたずんでいた。--父も母も亡き兄弟二人は、信州の伯父にあたる賀々見勘造の家に引き取られたが、兄修平がやがて戦地に征った後、弟の修吉は、伯父の子供たちの昌夫や、まき子達にどうしてもなじむことが出来ず遂に伯父、伯母との折合も悪くなって、罪ならざる罪を着せられ、感化院に入る身となってしまった。間もなくそれから終戦となって兄修平は忘れ得ぬ弟修吉を感化院におとずれたが、なつかしい弟の姿は見えなかった。脱走したという。--もしや修吉はこの浮浪児の中にいるのであはないかと尋ねたが、修吉ならず隆太少年が彼のふところに飛び込んできた。修平は隆太を見る度に弟のおもかげを抱きながら何とかこの浮浪児を救わねばならぬと救済方法を決心する、事実は空しかった。社会の経済的な圧迫、周囲の人々の冷たさ、等が彼の誠実な努力をさまたげる。だが可愛い子供たちは彼の偽りのない心に次第に親しみなついて来た。そして彼の仕事を助力する人々も少なくはあったが力をつけてくれるのである。一方修平が尋ねる弟修吉は、感化院を抜け出しては見たものの、暖かい愛情の家もなく浮浪児の仲間にいつのまにか入っていた。だが修吉は兄に会いたい気持ちが日増しにつのって汽車に乗るが、信州行きではなかった。汽車から飛び降りて足がけがした時には、身も知らぬ人に助けられていた。その人立花は強盗ではあったが親身になって悟してくれた。やがて東京に帰った修吉は以前の修吉ではなかった。素直な子供になっていたのである。松葉つえを頼りにやがて信州に現れた修吉は、兄修平や隆太たちの苦しい努力と愛情によって建てられた「鐘の鳴る丘」に迎えられた。クリスマスの晩である、伯父勘造夫婦も、昌夫、まき子たちも、隆太たちと一緒に修平と由利江の顔を見較べていた。クリスマスの鐘はあたりにいつまでもいつまでも鳴りひびいていた。