小判鮫・後篇
劇場公開日:1948年1月18日
解説
「小判鮫・前篇」の後篇。スタッフ・キャストとも前篇と同じ。前篇は昭和23年12月23日、後篇は翌年の1月11日に公開された。
1948年製作/89分/日本
配給:新演伎座
劇場公開日:1948年1月18日
ストーリー
恋故に狂ったお七が、父を捨てて紅雀のもとに走ったお蘭の事を注進した。一切を語って共力を誓った百太郎と紅雀--その紅雀のために百太郎はお蘭をかくまおうとしてお七の目にとまる。水上の二つの争い。お七は百太郎がお蘭をかくまった隠れ家を探し当てた。斉人はお上にささげる大事な娘をかどわかされたと落たんし、いよいよ古傷があばかれるしょうそうに五島屋が米の値上げを見通してした隠し米を、却って唐津屋に逆に待ちに安値りさせた。当然入るべき悪の道の果てなのであった。共謀はかくして表裏した。一方百太郎の必死の努力によってお七の手からお蘭を奪いかえせたものの「一目紅雀さまの」という可れんな言葉にほだされて中村座の千秋楽に供なった。斉人も娘の動勢を知って中村座に唐津屋とかけつける。今はただ復しゅうにいきりたつ五島屋も唐津屋を追って--。舞台はまさに終わらんとする時舞台裏に唐津屋を見出した五島屋は相重なって舞台の上に倒れた。驚いた群衆。それよりも斉人の瞠目。娘の手をとって小屋を出んとした時、き然と舞台に立った百太郎の姿。すべてを明かして大衆の前に裁きを求めるのであった。ほのぼのと明けそめる品川の波止場に「万兵衛さんをつれてもどってくるよ」と打振る百太郎の姿を、見送る紅雀、お蘭の姿が見えた。「あたしの負けだよ、いつまでも太夫と仲よくねえ」お七のさびしいはなむけの言葉だった。