非常線(1947)
劇場公開日:1947年5月13日
解説
「バラ屋敷の惨劇」の沢村勉の脚本を「待ちぼうけの女」「のんきな父さん」のマキノ正博が演出する。撮影の三木滋人は「歌麿をめぐる五人の女(1946)」「満月城の歌合戦」のカメラマン。出演者はMSCの月丘夢路、楠かほる、轟夕起子の他、「地獄の顔」の水島道太郎、月丘千秋、「わが恋せし乙女」の原保美、斎藤達雄、見明凡太朗(大映)、佐伯秀男、田端義夫(MSC)ら。
1947年製作/89分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1947年5月13日
ストーリー
港町のある三階建ての安ホテル。港祭りの晩に、前科者の運転手千代太が若い身投げ女葉子を担ぎ込んでくる。下宿人のインチキ薬を作っている医師蒲原が葉子の介抱をする。折も折、某銀行の襲撃事件があって、現場に千代太の帽子が落ちていたというので、非常線がホテル界隈に張り巡らされる。ホテルの人々は多かれ少なかれ後ろ暗いことをしていたので、非常線のためにビクビクする。葉子の父亥太郎はがん造紙幣を製造していたが自分の危険を知りがん造紙幣を各室へ投げ込んで罪状をくらまそうとする。兄清之助の室にいた千代太は前科者独得の強迫感情で近くの下水に隠れるが、贋造紙幣一味は千代太を捜し出して警察に密告する。千代太は逃げようとして射殺され無実の罪を絶叫しつつ死んで行く。銀行襲撃の真犯人が挙った報が伝わりやがて非常線は解かれる。この非常線騒ぎで贋造紙幣団が逮捕され、闇の常習として宿の主人と出入りの闇商人も警察にひかれてゆく。蒲原と葉子は相寄る魂を感じて新発足すべくホテルを出る。千代太の恋人夏子が貧しさのため堕胎しようとしていたのを知った清之助は秘蔵の虎の皮を売って新しい生命を守るようにという。こうして朝がきて、安ホテルの生活がいつものように、しかし今日は明るく始まって行くのである。